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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

墨流し~日本古来のサイエンスアート~

2022年3月10日
国立大学法人 長岡技術科学大学
工学専攻 物質生物工学分野
助教 小松啓志

 水面で墨汁と油を使って、唯一無二のアート作品をつくります。

準備

  • 墨汁(朱液や油性の絵具でもできます)
  • 爪楊枝
  • バット(金属製あるいは塩ビ製)あるいは紙製のお皿
  • 市販のサラダ油
  • 半紙、はがき、布など

実験

  1. バットあるいは紙製のお皿に水を張ります。

  2. 爪楊枝の先端に墨汁をつけ、水面にそっと墨を落し、全体に広がるまで繰り返します。墨汁の量が多すぎると、墨汁が水に沈んでしまいます。

  3. 別の爪楊枝に油をつけ、それを②の墨の中央にそっとつけます。墨汁が油にはじかれて広がります。

  4. 油をつける作業を繰り返します。好きな模様をつくります(図1)。

    図1図1
  5. 爪楊枝をつかって、模様を自在に変化させることができますので、いろいろ試してみて下さい(図2)。

    図2図2
  6. 水面に紙を静かに乗せ、紙をそっと引き上げて、紙に模様を写し取ります。

  7. 引き上げた紙を乾かしたら、出来上がりです(図3)。

    図3図3

成功のポイント

  • 墨流しの模様は、落とした墨の位置や流し方、風の送り方などの微妙な加減で、偶然に作り出されます。それゆえ、二度と同じ模様が現れることのない、この世にたった1枚だけのアート作品が生まれるのです。
  • 紙をトレイから引き上げる際は、ゆっくり引き上げてください。また、小さいお子さんの場合は、保護者の方が手伝ってあげるとよいです。
  • 1枚の作品当たり、5分もかかりません。何枚か作ってみて比較してください。
  • 油を多量に入れますと、模様が思う通りに変化しません。最初は、油を少なめにしてみてください(図4)。
  • 図4図4
  • 大きいトレイにおいて、複数人で作業を行うことで、Tシャツなどの大面積なところにも模様を描くことができます。ぜひ挑戦してみてください。

原理

 墨の膜は油をはじくため、黒と透明の部分は混ざることなくきれいに分かれます。かき混ぜても混ざらないため、渦模様ができます。

 墨は、水に溶けない微小な墨の粒子です。水に入れると、最初は水の表層に浮かんでいます(図5 (上))。しかし、油が入ると、内側の水の表面張力が弱まり、外側の表面張力が相対的に強まります。その結果、外からは引っ張られ、内からは押し出されるようにして墨が水の表層を広がっていきます(図5 (下))。

 墨流しは日本古来の伝統芸術で、千年以上もの歴史を持ちます。その起源は、9世紀頃の宮廷遊びといわれ、川の水面に墨をおとし、流れによってうまれる模様の変容を楽しんだとされています。

図5図5
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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