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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

植物の色素から太陽電池をつくってみよう!

2017年10月13日
名古屋工業大学 工学部

1.はじめに

 太陽電池と言えば・・・屋根の上にあるソーラーパネルを思い出しますが1990年代初頭にグレッツェルが発明した色素増感太陽電池があります。ここではハイビスカスの色素を用いて色素増感太陽電池をつくります。

2.準備する物

  • 酸化チタン塗付された導電性ガラス(以下TiO2ガラス)と導電性ガラス(4枚セット)
  • 電解液
  • 鉛筆
  • 耐水両面テープ
  • スポイト
  • みのむしクリップ
  • 電子オルゴール
  • ハイビスカスティ
  • シリコンタイプの接着剤

3.太陽電池の作製

 図1または写真1、2を参照して作製してください。

  1. 導電性ガラスの導電面に2B以上の濃い鉛筆で炭素を塗り付ける。

  2. TiO2ガラスをハイビスカスティに浸けて色素を20~30分ほど吸着させる。

  3. 炭素を塗布した導電性ガラスの両面テープ保護シートを取り、写真1のように色素を付けた面と貼り合せる。

  4. 穴の片方から電解液をスポイトで全面に行き渡るように注入する。

  5. 穴をシリコンタイプの接着剤でふさぐ。

  6. 作製した太陽電池を写真2のように、みのむしクリップで直列繋ぎにして電子オルゴールに接続させる。

図1 色素増感太陽電池のつくりかた

図1 色素増感太陽電池のつくりかた

写真1 電極の貼り合せ

写真1 電極の貼り合せ

写真2 直列つなぎした太陽電池

写真2 直列つなぎした太陽電池

4.色素増感太陽電池を太陽光に照らす

 つくった色素増感太陽電池に太陽光を照らすと電子オルゴールから音楽が流れます。そして手で光を遮ると音が止みます。反対に鏡で光の量を多くすると音が大きくなります。その他にマルチメーター(テスター)で電圧を測定すると光の量によって変化します。

5.発電のしくみ

 図2から発電の仕組みを参照してください。

  1. ハイビスカスの色素に太陽光が当たると電子を放出します。
  2. 励起された酸化チタンに電子が移動します。
  3. 電子(e)は対極に移動して電解溶液の3ヨウ化物イオン(I)を還元してヨウ化物イオン(3I)にします。
  4. 酸化された色素はヨウ化物イオン(3I)から電子を受け取ります。電解溶液は3ヨウ化物イオン(I)なります。
  5. ①~⑤を繰り返して電流が流れます。
図2 発電のしくみの模式図

図2 発電のしくみの模式図

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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