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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

レーザー光で風船は割れるか?

2021年10月22日
香川大学 創造工学部

1.準備

1.1

 用意するもの

  • レーザー(出力100mW程度、赤・緑・青など)1~3台(数千円で買えますが、出力が小さいものですと実験がうまくいかない可能性があります。)
  • 集光レンズ (レーザーの台数につき1個、自立できるものならなんでも)
  • 簡易定盤 (ジュラルミン板にねじ穴をあけただけのもので十分)
  • 風船 (レーザー光と同じような色のものや補色のものなどいろいろ)
  • レーザー防護眼鏡 (安全対策はしっかりと取ってください)
注意点

強いレーザー光は人体に及ぼす影響が大きく、また反射光がどこに飛んでいくかわからないので、くれぐれも目に入れたり火傷したりしないようにしっかりと安全対策をしてください。

1.2

 以下の図のように配置します。

1.3

 風船を膨らませます。

2.実験

2.1

 以下の実験スケジュールに沿って実験をします。

  1. レーザー防護眼鏡をかけてから、レーザーを点灯します。
  2. まず、レーザー光と同色の風船が割れないことを確かめます。(例えば、赤色のレーザー光と赤色の風船)
  3. 次にレーザー光と補色の風船をレンズの後ろにかざします。例えば、赤色のレーザー光と緑色の風船を用いてみましょう。この際にレンズの後の焦点付近や広がった部分などいろいろな場所で試しますが、焦点付近に持っていくと割れます。
  4. 様々な色の風船(例えば黄色、白、黒)で同様の実験を行ったり、レーザーが複数台あるときは、どの色(波長)の光だと割れるか、あるいは割れないのかなど自由に実験してください。
  5. レーザー光と補色の関係にある風船を、レーザー光と同じ風船の中に入れて二枚重ねで膨らまし、同様の実験を行います。中の風船だけが割れることが確かめられます。例えばレーザー光が赤色の場合は、緑の風船を内側に、赤色の風船を外側にします。

2.2

 実験結果をまとめて、どのような場合に割れるのか、あるいは割れないのかについて考察します。

3.解説

 私たちが日ごろ見ている景色の中には、様々な色が含まれています。それらの多くは光の選択的な吸収によるものです。太陽光や蛍光灯などから出てくる白色光(様々な波長の光が混ざったもの)が物質に当たると、一部の波長の光は吸収され、それ以外の波長の光が物質から反射や散乱、透過をして私たちの目に入ります。私たちはそれを「色」として認識しています。
 この実験ではそのことを利用しております。例えば、赤い風船は緑などの補色の光を吸収して、残った赤い光が我々の目に入るので赤く見えます。すなわち、赤い光は吸収せず、特に緑の光はよく吸収します。そのため、赤いレーザー光を当てても風船は割れませんが、緑のレーザー光はよく吸収され、そのエネルギーが熱に変換し物質を温めます。風船の場合は図のように光が当たった場所が溶け、瞬間的に小さな穴が開きます。これは風船を針でつつくことと同じです。そのために緑の風船は割れるのです。レーザー光が緑になると逆に赤い風船が割れます。二枚重ねの場合は、レーザー光が赤色の時には外側の赤い風船は吸収されないので、そのまま透過し、内側の緑の風船で吸収されますので、中の風船だけが割れます。

4.まとめ

 レーザー光を当てるだけで風船が割れる様子は、その音なども派手なのでとても魅力的でショー的な要素が大きいのですが、可能な限り科学的な原理の理解を心がけてほしいと思います。この原理の中には量子力学的なエネルギー準位に関する説明なども入っておりますので、高校生以上の方はそこまで踏み込んで理解していただければと思います。
 その一方で、強いレーザー光は人体に及ぼす影響が大きく、また反射光がどこに飛んでいくかわからないので、くれぐれも目に入れたり火傷したりしないようにしっかりと安全対策をしていただければと思います。 特に青色レーザーは一見するとそれほど高強度には見えませんので注意してください。それでは安全対策をしっかりととって楽しい実験を行ってください。
 この実験の様子は以下の動画にもまとめてありますので参考にしてください。

  1. ※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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