菌の繁殖を抑え、キズ薬やニキビ薬としても用いられる抗菌物質は、生活に欠かせないものになっています。このような抗菌作用を持つ物質は、実は身近なところにも存在しています。今回は、食品の中に含まれる抗菌物質について、実験的にその存在を確かめてみましょう。
図2 実験の様子
図3 培養前後の寒天培地
納豆菌液を一様に塗布できていれば、寒天培地表面に白く菌が成長しているはずです。穴を開け、抗菌物質を入れた部分の周辺は、その抗菌物質の効力に応じて、菌の成長が抑制されているはずです(図4)。今回行った実験では、アルコール除菌ゲル > オロナイン軟膏 > おろしショウガ ≈ おろしワサビ > おろしニンニク の順に、大きな阻止円がえられました(図4)。納豆菌に対する抗菌作用はこの順番に強いものと考えられます。図5に示す通り、アルコール除菌ゲルには塩化ベンゼトニウムが、オロナイン軟膏にはクロルヘキシジングルコン酸塩が抗菌成分として処方されています。また、ニンニクにはアリシンが、ショウガにはシンジオールが、ワサビにはアリルイソチオシアネートが抗菌成分として含まれることがわかっています(図5)。これらの抗菌物質が菌の成長に及ぼす抑制効果(=抗菌作用)が反映されたものと考えられます。
市販の擦り傷用の消毒液(マキロンなど)や、焼酎(江戸時代には消毒薬として使われた)、梅干なんかを試してみても面白いかもしれません。
菊池 賢、感染症四方山話(9): 家庭でできる微生物実験 その2 THE CHEMICAL TIMES 2014, 3, 18–23.
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