機械や構造物の振動には人と同じような性格があります。これを固有振動数と呼びます。振動数とは振動が1秒間にくり返される回数のことです。この性格によって振動の形が決まります。これを振動モードと呼びます。性格の数は対象物によって異なります。これを自由度と呼びます。その性格を刺激すると振動が急激に大きくなります。これを共振と呼びます。今回はこれら振動現象についてイメージを掴んでいただければと思います。
水平方向の振動現象の一例として、加振装置(図1)の上に二重振り子の加振体(図2:水平方向用:No.2)を設置して水平方向に揺らす(揺らす幅のことを振幅と言います)と、振り子が揺れ始めます。さらに同じ振幅で加振体の振動数を大きくしていくと、共振時だけ振動が大きくなり、振り子の揺れ方(振動の形:振動モード)も変化します。共振の振動数を過ぎると振り子の重りは、ほとんど動かなくなります。
次に垂直方向の振動現象の一例として、加振装置(図1)の上に質量を三つ並べて弦でつないだ加振体(図2:垂直方向用:No.5)を設置して垂直方向に揺らすと、質量おもりが揺れ始めます。水平方向の振動現象と同様に、振幅は一定のままこの加振体の振動数を変化させると、共振時だけ振動が大きくなり、質量おもりの動き方(振動の形:振動モード)も変化します。共振の振動数を過ぎると質量おもりは、ほとんど動かなくなります。
これらの振動現象の観察から、機械や構造物にとって共振がどれだけ危険な状態であるかがわかっていただけると思います。
機械系の動力学問題とりわけ「振動問題」を理解することは、機械系・機関系のエンジニアにとって必要不可欠ですが、その現象についてイメージを掴むことが難しいように思います。今回ご紹介した加振装置(図1)とパッケージ型加振体(図2)は、広島商船高等専門学校瀧口三千弘教授らと東京海洋大学藤野俊和准教授が共同で製作したものです。振動現象を理解するための教材として利用していただけると幸いです。
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