フライパンの柄を持ってたたくとよい音がします。たたくことによってフライパンが振動し、その音を我々は聞くことができます。フライパンでなくても金属の板であれば同じように振動し、音を発します。今回の実験では、金属板の振動をお見せしましょう。
ここではたたくのではなく金属板の中心を加振機によって加振します。加振の振動数を調整することによって金属板の振動を大きくすることができます。これを共振と呼びます。
共振を起こす振動数は数多くあり、金属板の上に砂をまくとそれぞれの共振状態の様子を砂の模様として見ることができます。この砂の模様のことをクラドニ(Chladni)の図形といいます。板が振動すると、ある部分は振動し、ある部分は振動しない、というように場所によって振動の大きさが異なり、砂は振動しない部分に集まって独特の模様を描きます。
このように共振の振動数が異なると模様も違った形になり、同じ模様は現れません。正方形の板、円形の板、三角形の板のクラドニの図形をお見せします。
模様を見やすくするために、スプレーペイントで黒くぬっています。
このアンプには、加振の振動数を変える機能があります。今回は板の真ん中を加振器につなげました。
ここでは研究向けの装置を使いますが、最後のほうでは家庭でも実験できる方法を説明します。
板全体に、砂を薄くまく。
鉄板に加える振動の大きさは一定のまま、振動数を少しずつ変えて、砂の動きを見る(このとき、砂が全体的に飛びはねているならば振動が大きすぎます)
砂が板の振動しない部分に集まろうとする動きを見つけたら、砂がよりハッキリとした模様を描くような振動数を、いまの振動数近くで探します。模様がわかりにくければ、砂をまき直します。
次の模様を探すために、周波数を大きく変えて①~③の作業を繰り返します。
板にはたくさんの振動数で共振が起こり、それぞれに特徴的な模様が描かれます。ここでは一部の模様だけ紹介します。
再生ボタンがあるものは、模様が現れるようすを動画でも確認できます。大きな音を出しながら振動しているので、視聴するときは音量に気をつけてください。
Hz(ヘルツ)とは…1秒間に繰り返される波の数を表す単位のこと。
円板でも、ちがった振動数でいろいろなクラドニ図形を観察することができます。
三角形の板で観察できた模様です。頂点と底辺の中点とを結ぶ線について、左右対称なパターンが多くみられます。三角形のクラドニ図形がこのようになることを想像できたでしょうか?
振動する板にきれいな模様を描かせるにはコツが必要なのですが、どなたでも手に入る道具でクラドニ図形を観察する方法を紹介しましょう。
スピーカーをパソコンにつなぐ。
塩ビ管の上側を柔らかい布でおおい、その上に金属板をそっとのせる。
スピーカーからの音波の当て方、板のおき方など、工夫すれば、もっときれいなクラドニ図形を描くことができると思います。チャレンジしてみてください。
掲載大学 学部 |
金沢大学 理工学域 | 金沢大学 理工学域のページへ>> |
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |