地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない自動車として電気自動車があります。電気自動車は、充電可能な二次電池でモーターを回して走る二次電池式電気自動車、水素燃料電池で発電してモーターを回して走る水素燃料電池自動車 (FCV)などがあります。
コンデンサを充放電可能なバッテリーと仮定した二次電池式電気自動車の簡単な模型を作って電気自動車の原理について勉強してみましょう。
( ①~⑧ は、ウチダテクノ「電池で動く車セット」に含まれています )
コンデンサとは、電荷(静電エネルギー)を蓄えたり、放出したりする受動素子 (図2の素子)のことを表しており、蓄えられる電荷量を静電容量C [F](ファラッド)と呼びます。
今回使用する電解コンデンサは、定格以上の電荷がコンデンサに流入すると破裂する恐れがあるため、あらかじめ手回し発電機の定格電圧・電流から最大充電時間を求めます。
コンデンサの定格(2.7 V、10 F)から、コンデンサに蓄えられる電荷Q [C](クーロン)は、静電容量 10 F とコンデンサの両端にかかる電圧 2.7 Vを用いて Q = CV = 10 × 2.7 = 27 C となります。また、一秒間に流れる電荷量が電流となるため、コンデンサに蓄えられる電荷は、コンデンサに流入する電流I [A]と通電時間 t [秒]を用いてQ = It [C]となります。ここで手回し発電機の定格より、発電機から流れる電流が200 mA (0.2 A)となっていますので、充電時間 t は、27 / 0.2 = 135 秒より短くしないといけないので注意して実験してください。
実験では、手回し発電機の回転数を1秒間に2回転程度として120秒以上、充電しないようにしてください。また、破裂の恐れがあるため,コンデンサの銀色の部分(図2の銀色の部分)は顔や体に向けて充電しないでください。手回し発電機の仕様によって、発電機の回転数や実行時間を適宜、変更して実験してください。
図3のように、コンデンサの赤色の端子に手回し発電器の赤色のリード線、黒色の端子に黒色のリード線を接続してください。コンデンサには極性があるため、絶対に逆に接続しないでください。また、マルチメーターの赤色のリード棒を赤色の端子、黒色のリード棒を黒色の端子に付けます。手回し発電機の+方向(図3のピンクの矢印の方向)に1秒間に2回転程度で120秒発電するとコンデンサの電圧は約 2.5 Vとなります。手回し発電機の回転を止めるとコンデンサからの放電が始まるため、発電を止めると直ぐに手回し発電機のリード線をコンデンサから外してください。
図4のように組み立てます。モーター、スイッチ、コンデンサは両面テープやセロテープで固定します。モーターの赤色のビニル銅線をコンデンサの赤の端子に接続します。また、モーターの緑色のビニル銅線はスイッチに接続し、スイッチの逆側はビニル銅線を用いてコンデンサの黒色の端子に接続します。コンデンサの赤色の端子と黒色の端子が短絡(ショート)しないように気を付けて接続してください。
最初に、スイッチを入れて、モーターが完全に動かないことを確認して、スイッチを切ります。コンデンサの赤色の端子に手回し充電器の赤色のリード線、黒色の端子に黒色のリード線を接続してください。コンデンサには極性があるため、絶対に逆に接続しないでください。
手回し発電機の+方向に1秒間に2回転程度で120秒発電するとコンデンサの電圧は約 2.5 Vとなります。モーターはタイヤを地面に接していない状態だと1.2 V程度まで動作するため、( 2.5 – 1.2 ) [V] × 10 [F] = 13 Cの電荷を使用することができます。したがって使用できる電荷量 13 Cを、モーターの定格電流 100 mA ( 0.1 A ) で割ると13 [C] / 0.1 [A] = 130秒程度、理論上動作することがわかります。
実際にタイヤを地面につけた状態で何秒走行するのか試してみましょう。また、車体に重りを載せた場合や走行させる道路の素材(段ボール、アスファルト、ゴム等)で走行時間がどのように変わるか試してみましょう。
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