みかんやレモンなどの柑橘類の皮の汁にはリモネンという化学物質が含まれています。
発泡スチロールは、食品の輸送箱、家電やOA機器の緩衝材、住宅建材など、私たちの身近なところで使われています。今回は、発泡スチロールとリモネンを使って、オリジナルスタンプをつくってみましょう。
発泡スチロールを適当な大きさに切り出します。
洗濯のりを混ぜた絵具で、発泡スチロールに絵をかきます絵をかいていないところが溶けてへこむ部分となります。スタンプをつくるので、文字などは反対に書く必要があります。
絵が乾いたら、リモネンをつけて、絵をかいていないところを溶かします。
綿棒や筆につけて利用できます。
みかんの皮を利用する場合は、折り曲げて押しつぶしながら、スタンプ面の発泡スチロールに汁を塗りつけます。
発泡スチロールの表面に凹凸ができたら、絵具と残っている汁を水で洗い流します。
発泡スチロールが乾いたら、スタンプとして完成です。
スタンプ台を使ってインクをつけ、紙などにスタンプしてみてください。
インクの色を変えたり、違った模様をつくったりしても楽しいです。
柑橘類の皮の汁に含まれるリモネンは、炭素と水素でできている無色透明の液体で、油に似た性質を持っています。
一方、発泡スチロールは、白くて軽いのが特徴で、石油からつくられたポリスチレン(PS)を小さな粒状にした原料ビーズを約50倍に発泡させてつくられるため、製品体積の約98%が空気で、原料はわずか2%の省資源な素材です。このポリスチレンは、その分子は細長くつながったヒモのような形をしています。
発泡スチロールは、リモネンが触れると、ポリスチレンの長いつながりを細かく切って、スチレンへと分解するため、発泡スチロールが溶けていきます。これは、スチレン分子構造がリモネンの分子構造と似ているからです。
化学的に似たような構造を持つもの同士は、簡単に混じり合うので、溶けます。このため、ゴム風船のゴムや油性マジックのインクの構造も似ているので、リモネンに溶けます。
リモネンは、洗剤や接着剤の成分としても利用されています。また、安全に発泡スチロールを溶かし、体積を小さくできるので、ゴミ処理やリサイクルに活用されています。
今回は、絵具にポリビニルアルコール(PVA)というリモネンでは溶けない物質を混ぜることにより、スタンプの凹凸をつくりやすくしました。
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