みなさんはスライムを作ったことがありますか?スライムの原料であるポリビニルアルコール(イメージ図中のPVA、[CH2CH(OH)]n)は水溶性高分子の1つです。これにホウ砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物、Na2B4O7・10H2O)水溶液を加えていくと、プヨプヨしたスライムができます。これはホウ砂の中に含まれる四ホウ酸イオン(イメージ図中のピンクの●、右下図の真ん中)がポリビニルアルコールのヒドロキシ基(水酸基ともいいます、右下図の-O-H)と水素結合することによって、ポリビニルアルコール同士の間で「橋」のような構造ができ、その橋と橋の間に水(H2O)を貯えることができるようになるためです。
今回は、ポリビニルアルコール水溶液の濃度によってスライムの固さが変わることと、いくつかのスライムをつなげて電気が流れることを確かめてみましょう。
*スライムに色を付けたいときは、食用色素など水溶性色素を加えても良いでしょう。
*LEDと電子メロディを購入するときは、動作電圧と消費電流を確認して下さい。これらの値が小さいほど、光りやすく、鳴りやすくなります。
*飽和水溶液(5.1g/100mL, 20℃)を作るため、ホウ砂の量は多めに設定しています。 したがって、少しホウ砂の固体が残るはずです。着色するときは、ここで加えておきます。
*固まっていく様子を観察しましょう。ポリビニルアルコールの濃度によって、どんな違いがあるでしょうか?
水が少ないほどポリビニルアルコールの濃度が高いということになります。①>②>③の順で固いスライムができます。
*LEDは光るでしょうか?光らないときは、つなぐスライムの数を増やしていきましょう。複数つなぐときは、銅板と亜鉛板が交互になるようにつないでいきます。
スライムを何個つないだら、光るでしょうか?
つなぐ個数によって光の強さは変わるでしょうか?
*電子メロディをつなぐと音が鳴ります。電子メロディをつなぐときは、電子メロディの赤い線と黒い線をどちらにつないでも音が鳴ります。
家の工具にテスター(電流計・電圧計)があったら、実際に測定することをお勧めします。電流とは、どれだけの電子が流れているかを意味しており、電圧とは電子を流そうとする力のことです。
LEDが光るためには、1~10 mAの電流と乾電池と同程度の約1.5 Vの電圧が必要になります。これに対し、豆電球が光るためには0.3 A (=300 mA)以上の電流と1.5 V以上の電圧が必要になります。LEDがいかに節電になるかがわかりますね。
今回は、金属板に銅板と亜鉛板を用いることで電圧を発生させています。一方、スライムは電池の電解質と同じ働きをします。つまり、どれだけ電子を流れやすくするかということがポイントになります。
スライムを複数つなぐとき、①と②と③をつなぐこともできますが、いずれかの濃度のものを複数つくって、つなぐこともできます。①~③のどのスライムが電池に向いているか考えるのも良いでしょう。
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