空気の流れを見てみましょう! |
フィギュアには、ガチャポンに代表されるようにいろいろなものが発売されていて、本物そっくりなものが数多くあります。これも日本の技術の1つと言えます。そこで、スポーツカーなどがいかにスムーズな形をして、抵抗を少なくしているのか、空気の流れを見ることで理解できます。そのような流れを見る装置を可視化風洞といいます。今回は、身近なもので可視化風洞を作ってみましょう。
透明のプラスチック容器(お菓子などが入っていたもの)、模型用プロペラ、モータ(1.5V用)、電池ボックス、ストロー、厚紙または発泡スチロール板(5mm程度)、両面テープ、線香、必要に応じて可変抵抗(20Ω程度)、定規、カッター、蛍光灯 など
風洞外殻の制作:プラスチック容器の底の部分を、丸みが始まるところからカットします。また、側面にも四角にカットし窓を作ります。(装置ではカット窓面が下になります。)
整流格子の制作:ストローを25mmの長さに1000個ほど切って作る。およそ500個ずつに分け、それらを両面テープで固定しながら、容器よりひとまわり小さい寸法に作ります。写真左のような形状が2つできたら、容器にはめ込み、すき間にストローを少しずつ押し込んでゆるみがないようにします。これを整流格子といい、風洞の流れをきれいでスムーズにするものです。
ファンの取り付け:容器の口の部分に、発泡スチロール板(厚み5mm)をT字に組んで、モータの軸が中心になるようにします。これらを両面テープで固定します。
けむり発生部の制作:発泡スチロール板をT字に組み、表面に両面テープを張ります。線香を等間隔に固定して取り付けます。
模型取り付け台の制作:発泡スチロールをコの字型に組んで、模型の台を作ります。
可視化風洞の組み立て:モータと電池ボックス、必要ならば可変抵抗を直列につなぎます(空気の流れの速さを加減するため)。
電池を電池ボックスに入れて、空気がモータ側から出てくることを確認します。モータ側から吸い込んで、プラスチック容器の底の方から出る場合は、電池を反対に入れ替えます。可視化風洞の後ろに黒い紙を貼り、煙が見えやすいようにします。模型取り付け台に模型を載せて可視化風洞に四角のカット窓を下にして、可視化風洞を上からかぶせます。線香に火を付けてけむりを発生させて可視化風洞に近づけ、線香の煙が中に吸い込まれることを確認します。室内を暗くして、可視化風洞の上から蛍光灯や懐中電灯などの光を当て、煙を見えやすくします。(模型のまわりだけに光が当たると見やすくなります)煙が模型の周りを流れる様子が確認できたら、煙が見やすくなるように可変抵抗を回して、空気の速さを調整します。
模型の自動車の周りの流れを見てみましょう。スポーツカーのように流線型に近い自動車では、自動車に沿って空気が流れている様子が見えます。このように自動車に沿った流れがあるときは、自動車に働く抵抗は小さく、少ないエネルギーで走ることができます。一方、トラックの模型の場合は、自動車の前で空気が渦巻いていることがわかります。また、トラックの後ろの広いところで流れが小さくなっています。
このために、トラックの抵抗が大きくなってしまいます。 このように、もののまわりの流れはさまざまで、抵抗もそれぞれ違っています。流れの可視化はこのような現象の理解を助けてくれます。企業の研究所などでは、本物の車や電車などを入れて調べることができる大きな風洞もあります。
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