砂を入れた容器の下から空気を流すと、砂が液体のように動く現象が見られます。この時、空気が砂の層の中に泡を作ったり、砂の層の中で浮力が働き、密度の小さいものが浮かび上がったりします。
実験装置を組み立てます。ゴム栓に穴をあけて空気を通す管を入れます。このゴム栓に布をかぶせて、円筒に差し込みます。このとき、円筒とゴム栓の間からなるべく空気が漏れないようにします。空気を通す管をエアーポンプにつないで、空気を円筒に送り込めるようにします。
粒子の動きの観察をしてみましょう。円筒の中に砂を入れて、その中に空気を送り込みます。空気の量をしだいに増やしていくとどのような変化がみられるでしょうか。
図2 空気を流していないときの砂層と空気を流して中に気泡ができた時の砂層の様子
砂の上におかれた重いものはどうなるでしょうか。まず、空気を流さずに砂を円筒の中に入れます。砂の上に金属のもの(例えば10円玉)をのせてみましょう。空気を流していないときには砂が止まっていて、金属が沈むことはありません。しかし、空気を流していき、次第に砂が動き始めると、金属はどうなるでしょうか。
図3 砂の層の上におかれたスパナがだんだん沈んでいく様子
砂の中に埋めた軽いものはどうなるでしょうか。まず、軽いもの(発泡スチロール、割りばしを短く切ったもの等)を砂が入っていない円筒の中に入れます。その上から砂を入れましょう。空気を流していないときには砂が止まっていて、埋まっている軽いものが勝手に浮き上がることはありません。しかし、空気を流していき、次第に砂が動き始めると、埋められた軽いものはどうなるでしょうか。
図4 砂の中に埋まった割りばし(矢印)が層の上に浮かんでくる様子
このように、砂や粒子を流動化させた装置を流動層と呼び、さまざまな化学反応やごみの焼却に使われています。最近では、発電所や工場からの排ガスに含まれる二酸化炭素を分離回収するための装置としても使われています。
平たい断面の流動層に、右半分と左半分で流す量を変えて空気を送り込めるようにします。砂を流動化させると、空気を流す量が多いほうに大きな泡がたくさんできます(図5-1)。この装置の中に、カラーガラスおはじきを上から落とします。すると、左側に落としたおはじきが沈みながら右側に吸い込まれるように動き、右側の下のほうに集まっていきます(図5-2)。このように、流動層では空気の流れる量を変えることで、重いものが沈む方向をコントロールすることができます。
図5 砂層で空気の流れる量を不均一にして、重いものが沈む方向をコントロールする
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