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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

 

色素増感太陽電池を作ろう!

 
2012年10月31日
愛媛大学 大学院 理工学研究科 
物性物理化学研究室


太陽光は人類の時間スケールから見れば永久的に利用できるクリーンなエネルギー源と言えるでしょう。

太陽からの光エネルギ-を電気エネルギ-に変えるために太陽電池が開発されました。その多くはシリコンが主に使われていますが、生産コストが高いという問題点もあります。

近年、植物の花びらなどから取り出した色素を使った新しいタイプの太陽電池=色素増感型太陽電池が注目されています。その作り方を説明します。

用意するもの

色素(ハイビスカスの花びらなど)/鉛筆(4B)/セロテープ/エチレングリコール/酸化チタン(粉末)/
導電性透明ガラス/ヨウ素液


色素増感太陽電池の作り方

1

酸化チタン粉末をポリエチレングリコールとよく混ぜてペースト状にします。

酸化チタン粉末をポリエチレングリコールとよく混ぜてペースト状にします。
2

透明な導電性ガラスを並べて、テープで固定します。

透明な導電性ガラスを並べて、テープで固定します。

3

酸化チタンペーストを塗って、薄く引き延ばします。

酸化チタンペーストを塗って、薄く引き延ばします。
4

乾いたら、テープを外して、400℃で焼き付けます。

乾いたら、テープを外して、400℃で焼き付けます。

5

酸化チタン膜の完成です。

酸化チタン膜の完成です。
7

赤い花びら(ハイビスカス)を湯に入れて色素を抽出します。

赤い花びら(ハイビスカス)を湯に入れて色素を抽出します。

1

5で作ったガラス板を抽出液に浸して酸化チタン膜に色素を吸着させます。

5で作ったガラス板を抽出液に浸して酸化チタン膜に色素を吸着させます。
8

対極ガラスは表面を鉛筆(4B)で塗りつぶして導電面を作ります。

対極ガラスは表面を鉛筆(4B)で塗りつぶして導電面を作ります。

9

鉛筆を塗った導電面にヨウ素液を1~2滴垂らします。

鉛筆を塗った導電面にヨウ素液を1~2滴垂らします。
10

7と9のガラス板を少しずらして重ねると色素増感太陽電池の完成です。

7と9のガラス板を少しずらして重ねると色素増感太陽電池の完成です。

11

蛍光灯の下で、2組の太陽電池を直列につないでみると、約0.5Vを発生しています。もっとたくさんの太陽電池を直列につなげばいろいろな電子機器を動かすこともできるでしょう。

蛍光灯の下で、2組の太陽電池を直列につないでみると、約0.5Vを発生しています。もっとたくさんの太陽電池を直列につなげばいろいろな電子機器を動かすこともできるでしょう。

ちょっと難しいかも!?

光のエネルギー(eV*

電子はマイナスの電気を帯びた素粒子。1eV(電子ボルト)とは、
1Vの電極間で運動する電子のエネルギーである。

光は“波”の性質をもっており、光の種類は波の長さ(波長 : λ(ラムダ))で表す。

光の波長(nm)は以下の式を使うと、電子のエネルギー(eV)に書き換えることができます。
nm (ナノメ-トルは10億分の1メートル)

  • E :光エネルギー/電子エネルギー(eV)
  • λ :光の波長(nm)
  • c : 光速(2.998×108m/s)
  • h : プランク定数(6.626×10-34 Js)

赤:750nm = 1.6eV < 2.6eV = 475nm:青
青い光赤い光よりもエネルギーが大きい。

色素増感太陽電池のしくみ (電子の流れをつくる)

光のエネルギーを使って、自由に動ける電子をつくり、電気回路に電子の流れを作ります。

①太陽光が導電性ガラスを通って色素分子に到達する。

②赤い光はエネルギーが小さいので吸収されないが、エネルギーの大きな青い光は吸収されて電子を押し上げる。

③電子は色素分子から酸化チタンに引き渡され、電気回路へ移動する。

④ヨウ素は対極ガラスから電子を受け取る。

⑤色素分子はヨウ素から電子を受け取る。

右図の①~⑤が繰り返され、 電子の流れ=電流となる。

色素増感太陽電池の概念図
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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