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氷スラリーの新たな生成方法とその応用技術

 
2014年1月10日
弘前大学 大学院理工学研究科
知能機械工学科 多様系熱流体工学講座

氷スラリー

氷スラリー

氷スラリーとは、フローアイス、アイススラリーなどとも言われるシャーベット状の氷の事を言います。近年、昼夜間の電力供給格差の平準化を目的として、夜間電力で氷スラリーを生成し、昼間にその冷熱を空調用冷熱源として利用する蓄冷熱技術が、地球温暖化の抑制に大きな役割を果たしています。一方、最近、氷スラリーは、鮮魚の保冷材としても注目を集めています。これは、従来の硬いブロック状氷に比べて、保冷物を傷つけず、冷却むらが生じないなど、有効な冷却技術として一部実用化されています。

従来、様々な氷スラリー生成装置ならびに生成方法が提案されてきました。本研究では、新たな氷スラリー生成装置を発明し、これまで不可能とされてきた、氷スラリーの生成限界をブレークスルーすることに成功しました。具体的には、氷スラリーを生成する溶液に関して、これまで水溶液濃度1%が最低限度とされてきたのに対し、本装置は、0%、すなわち真水を用いても氷スラリーが出来ることを確認しました。さらに装置の小型化、簡略化、および省エネルギー化が見込まれるため、これまで氷スラリーの利用が不可能とされてきた医学分野や食品加工分野などへの応用も期待できます。これまでの基礎的研究の成果より、従来の氷スラリー生成装置で得られる氷粒に比べて極端に小さな氷粒が得られること、さらに高い過冷却状態からの急速氷スラリー生成が実現できることを確認しました。

氷スラリーの粒子(左 従来の温度帯で生成した場合 右 本装置を用いて高い過冷却状態から生成した場合)

氷スラリーの粒子(左 従来の温度帯で生成した場合 右 本装置を用いて高い過冷却状態から生成した場合)

今後、氷スラリーの各種利用条件に対して、オンデマンド的に対応できる氷スラリー生成装置を完成する予定です。具体的には、医療現場における手術中の臓器生体反応抑制を目的として、生理食塩水(塩分濃度0.9%)を用いた生体適合性氷スラリーによる臓器冷却技術を構築する。さらに高温物体の超急速冷却のための相変化冷却材として真水を利用した氷スラリー供給装置を生成し、急速冷却実験とその効果を検証する予定です。

生理食塩水で作った氷スラリー

生理食塩水で作った氷スラリー

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