身近な環境浄化から国境を越えた環境調査・環境再生まで |
金沢大学では、空気、水、土壌の環境調査、汚染回復や再生に向けた研究を行っています。ここでは、そのうちの3つの研究をご紹介します。
自然界に存在する微生物を利用した下水処理が行われています。その多くが、排水に空気を送ることによって微生物を増殖させて排水中の有機物を分解していますが、増殖した微生物自身が余剰汚泥として排出されてしまいます。
そこで、空気を使わずに有機物を分解する嫌気性微生物と嫌気性微生物を効果的に付着する炭素繊維を利用した下水処理システムを開発しています。嫌気性微生物を利用することにより汚泥の発生量を極めて少なくできます。現在、染色工場排水および下水処理場での実証実験を行っています。
炭素繊維
染色工場に設置した
嫌気好気生物ろ床装置
毎年、特に春先に日本に降ってくる黄砂を調査しています。世界で初めて、黄砂粒子に微生物が付着していること(黄砂バイオエアロゾル)を発見しました。現在は、能登半島上空で気球や航空機を用いて大気中の黄砂バイオエアロゾルを採集し、種々の生物分析を行っています。黄砂バイオエアロゾルの沈着地域(中国、韓国、日本など)における生態系影響や健康影響などについても、幅広い研究分野の研究者と国際的な研究を行っています。
気球を用いた上空の
黄砂バイオエアロゾル採集
黄砂粒子内のDNA(強く光る点)
石炭火力変電所からの燃焼排ガスや製鉄所・セメント工場からの排ガスを対象に、CO2回収・固定化システムの研究を行っています。高温排ガスからの石炭灰をもとに人工吸着微粒子を作ってCO2を吸着・固定化し、CO2を閉じ込めたエコブロックを成形します。さらに、このエコブロックを海中に漁礁として設置し、光合成により海藻類を成長させてCO2をさらに吸収する、という壮大なシステムです。CO2削減と同時に海洋環境も改善しようというプロジェクトであり、化学や生物学の専門家と共同で研究を行っています。
CO2回収・固定化と海洋再生システム
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |