ある日曜日の父娘の会話。
(高二女子)どの科目を選ぶか迷っているんだけど。
(父)なになに。。。。
(娘)数学IIIをとるかどうか。。。
(父)折角だから数IIIも勉強すればイイんじゃね?
(娘)薬学部へ入学するには、数IIIは対象外。診療放射線の学部では、数IIIが必要。
(父)薬剤師と医療系技師のどちらに興味があるんだ? 薬の開発に興味があるのか?
(娘)・・・・・
母親の刷り込みで薬剤師が候補に挙がっているだけで、その動機は薄い。医療系技師はドラマの影響か。
高専に在籍していた自分を振り返ってみると、将来の夢や職業については1ミリも考えていなかった。
何となく高専に入学し大学に編入しようと考えていた。
転機が訪れたのは、大学4年生の時であった。配属された研究室で電子材料を扱っていて、
助教が「固体電子論」のプロだった。彼のコメントや議論は斬新で衝撃を受けた。格好良かった。
自分も電子論に惹かれて、博士課程に進み、気づいたら大学の助教になっていた。
助教として赴任した研究室のボスから「誘電体をやってほしい」と言われた。
「難解な誘電体だけはやりたくない・・」と考えていたが、二つ返事で了承した。選択肢はなかった。
今では、「誘電体の電子論」を軸とした研究活動を行っている。思い返せば、興味の対象が見つかった
時点で、方向性は決まった。「面白い」と思った研究をとことん突き詰めただけだ。迷いはなかった。
苦手であった「誘電体」も一山超えれば「ただの材料」。「面白い」と思うまであっという間であり、
知らず知らずのうちに苦手意識は霧散していた。
高校生や大学生のうちから、興味の対象を見つけるのは簡単ではない。しかし、未来の「面白い」が、
幾度も目の前を通過しているのかも。。では、身の回りを注意深く観察してはどうであろう。
大学のオープンキャンパスで「面白い」が見つかるかもしれない。科学技術セミナーで講師の話に刺激を受けるかもしれない。
「面白い」を見つけた時点で、進むべき方向性は決まる。後は突き進むだけだ。その先には明るい未来が拓けている。
千里の道も一歩から。千里進めばゴールだ。アプローチは単純明快、ベストを尽くす。できることはこれだけだ。
まずは第一歩を踏み出してほしい。
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