私が高校生だった時、一番苦しんだ受験教科は数学と物理でした。授業で教えられる基本的な問題は解けるのだけれど、応用問題になると解き方がさっぱり思いつきませんでした。大学進学後は電気電子工学関係の分野かコンピュータに関係のある分野を学びたいとは考えていたものの、コンピュータのプログラムをパチパチと打ち込みながらロボットを動かすエンジニア・・・といった漠然とした将来像しか持てていませんでした。そんな私は、「エンジニアになるために何故あんな難解な積分の問題を解けなければならないのだろう?」などと不満を募らせながら受験勉強をしていました。どうしたら自分の力不足(問題の解法が閃かない)を補えるか、悩みに悩んで辿り着いた方法は、問題集の例題をひたすら覚えることでした。当時を振り返っても、まんざら悪くない勉強法だったなと思います。何故なら、入試問題の出題者たる大学の先生達も潤沢な発想の持ち主ばかりではないので、新規問題が半分以上も入試で出題されるというわけではありませんし、新規問題が1問位解けなくても怖気づく必要は無いのです。
晴れて工学部に入学し、いよいよコンピュータの勉強だ!と思いきや、またしても工学基礎科目としての数学と物理に悩まされました。当時は、「こんな記号だらけの数式が解けて、何の役に立つの?」と再び不満を募らせ、「専門学校の方が向いていたかもしれないなぁ」「電子工学科に入ったことが間違いだったか?」などと考えたこともありました。しかしながら、学部3年生の時に研究室に配属された途端、これまで苦しめられた数学や物理がこんなにも役に立つ道具なのかと驚愕したことを、つい昨日のように思い出します。コンピュータを使うといっても、解かなければならない現象をコンピュータにやらせる(=プログラムとして記述する)ためには、その物理現象の有り様を読み解き、数式として書き出してあげないと、プログラムにはならないのです。私の恩師はかつて、「学んだ一つ一つの事柄の詳細はいつか忘れてしまうかもしれないけれど、学んだという経験(Reference)は忘れないものだよ」と教えてくれました。高校生の皆さんは、いま工学という学問の入り口で苦労されていると思いますが、乗り越えた先には明るい未来が必ず待っています。現在学んでいることには一切無駄はありませんので、希望を持って頑張って頂きたいと思います。
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