社会への影響力を知る、誇り高き技術者・研究者に |
技術者は生活に便利なもの(道具、装置、しくみ、など)を作り出し、豊かな暮らしの実現に貢献してきました。技術者は、医師や弁護士と同様に専門知識を有する専門家です。会社などの組織に所属して集団で仕事をするため、会社員としてのイメージが強く、常には認識していない方もいるかもしれません。技術者の仕事は専門知識を用いて「人の役にたつものをつくる」ことです。そのためには使命感を持って専門家としての力を付ける努力が必要です。
入学時または在学中に専門家になることを強く意識している学生はどれだけいるでしょうか?漠然と卒業と就職を目標に勉強する学生が多いようですが、専門家になる目的意識の有無が在学中の学習のモチベーションに関係し、就職にも影響するように思われます。工学系「学部」で学ぶことはスポーツに例えるなら、体力づくりや試合ルール、チームワーク、トレーニング方法を学び、各種の専門スキルを培う、基礎トレーニングに相当し、まだ試合には出ていない状態です。実戦は就職後や「大学院」で行うことになります。つまり、卒業時には何が身に着いたかを明確に自覚できるのは稀な状態でしょう。しかし、社会にでると専門家として仕事をしますので、卒業時には少なくとも専門家としての心得は身に着いたと胸を張ってもらいたいものです。
過去に科学・技術がもたらした公害や事故が多くありました。技術者は社会に大きな影響を与える力があります。人に危害がおよび地球環境に悪影響を与えるようなことは避けなくていけません。専門家としてあらゆる条件・リスクを考慮して最適な解を導き出し、安全なものをつくる義務があります。そのためにも高い倫理観と専門知識を持たなくてはいけません。また、同時に人文社会系の教養も大切です。教養は人の心を豊かにし、より高次元で社会を俯瞰(ふかん)できる力を与えてくれる、技術者の養成には欠かせないものです。本学では教養教育と専門教育は車の両輪として在学中に平行して修得していくようにしています。
創造する行為によって生まれたものが、社会に与える影響を想像できる力を身につけてほしいため、技術者の倫理教育に力を入れています。これは社会から尊敬される誇り高い技術者になるための根幹をなすものだと考えています。技術者は尊敬に値する職種です。皆さんも社会に貢献する誇り高い技術者・研究者を目指そう。
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