日光、蛍光灯、LED電球など、日常生活に光は不可欠なものです。この「光」の性質はご存知でしょうか?物理学的には、光は波であり粒子であると言われています(波動性と粒子性)。ここでは波動性に注目します。電磁波である光の性質の一つ「偏光」を用いて、偏光万華鏡を作ってみましょう。
光は電場の波と磁場の波が重ね合わさった電磁波(図1)です。電場・磁場の波の振幅や位相によって、電磁波ベクトルの振動の様式が偏ります。特定の偏りを示す電磁波(光)を偏光と呼びます。
図1
図1:電磁波のイメージ図。電場ベクトルと磁場ベクトルの大きさ(振幅)が同じで、位相のズレがない場合。電磁波が進んでも(時間が経っても)、合成した電磁波ベクトルは右端絵の方向(振幅は変わる)であるため、偏光(直線偏光)している。
図2
図2:電場ベクトルと磁場ベクトルの大きさが異なる場合(左:直線偏光)と位相にズレがある場合(右:楕円偏光)。電磁波の絵の番号はベクトルの番号に対応。
偏光板は、ある一方の偏光成分のみ通過できるような素子のことです。自然光は無偏光(様々な偏光成分が混じり合った状態)ですが、図のように偏光板を通すことで、ある一方に偏光した光を取り出すことができます。
図3
図3:無偏光の光を偏光板に通した概略図(上)。1つ目の偏光板は横方向偏光のみを通し、2つ目の偏光板は縦方向のみを通す。方向の直行した偏光板を重ねると暗くなる。下図はその実演。矢印が通す偏光の向き。
偏光板はいろいろなところに使われています。例えばサングラスや液晶テレビ。散乱した日光は偏りが出るため、偏光サングラスをかけることで取り除くことができるのです。手持ちのサングラスに偏光を取り除く性質があるか否かは、液晶画面を用いて簡単に確認できます。
図4
図4:パソコンの液晶画面。液晶画面には表面に偏光板が貼ってあるため、手持ちの偏光板の向きによって明るさが変わる。
※偏光板はネットショップなどで調べてみてください。スマートフォンのフィルム(覗き見防止など)の一部は偏光特性を持っています。
紙コップの底をくり抜きます。
穴より大きめに偏光板を切ります。
片方の偏光板にセロハンテープを重ねてはります。色々な向きにできる限りたくさん重ねて貼ることをお勧めします。
紙コップに偏光板を固定します。テープを貼った方を上側にしてコップの裏面に(左)、もう一方はコップの底に(右)。
テープを貼った方が下側になるように重ねて完成です
外側の紙コップをもち、内側をくるくる回してみてください。色が徐々に変化します。色の具合はセロハンテープの重ね方によります。(黒三角はわかりやすいようにつけました)
偏光板の間に、偏光の特性を変えるもの(ここではセロハンテープ)を挟んでいます。1枚目の偏光板である方向の偏光のみが通過できますが、そのあとのセロハンテープで偏光の特性が変わることで、2つの偏光板の間を光が透過してきます。また、セロハンテープは縦と横で偏光の特性が異なります(複屈折性)。様々な方向の偏光特性が重なりあうことで色が変わります。偏光板の間に様々なものを挟んでみて、その特性を調べてみましょう。
図5-1は偏光板の間にセロハンテープ1枚を貼ったもの。セロハンテープを貼った箇所は光を通す。
図5-2はスマートフォンの画面保護フィルムを偏光板で挟んだもの。プラスチックの複屈折性により色がついて見える。
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