高いビルの横を歩いているとき、急に強い風が吹くのを感じたことはありませんか?
ビルのそばで吹く強い風は、ビル風と呼ばれることもありますね。街の中で吹く風は、建物の影響を受けて風向や風速が大きく変化しています。
身近にあるもので小さな風洞実験装置と風向を確認するための小旗を作って、建物のまわりの風の動きを見てみましょう。100円ショップや文房具店で購入できるもので実験装置を作ることができます。
図1のような装置を作ります。
厚紙とプラスチック板(プラ板)を台形と長方形に切ります。(図2)
台形に切った厚紙4枚をセロテープで貼り付けて、扇風機の風を集める筒(縮流部)を作ります。
長方形の厚紙に1cm間隔で1cmの切り込みを入れて、組み合わせて2cm間隔のグリッド(整流グリッド)を作ります。(図3)
整流部の外枠を厚紙で作り、2.の縮流部に取り付けてから、3のグリッドをはめ込みます。
プラ板4枚をセロテープで貼り付けて、透明な筒(観測部)を作り、4.の整流部の先に取り付けます。
5.の観測部の吹き出し口に厚紙で作った筒を取り付けます。(今回使用したプラ板が薄かったので補強のために付けましたが、プラ板が変形しない場合はなくても問題ありません)
厚紙を直方体の筒状にして脚部を作り、観測部の下にセロテープで取り付けます。
観測部の底に入る大きさにコルクシートを切ります。(図5)
コピー用紙をコルクシートと同じ大きさに切り、小旗を立てる目印の線を引きます。
8.のコルクシートの上に9.の紙を貼り付け、小旗を立てる部分に針金で穴をあけておきます。
ブロックのすぐ後ろの旗は、扇風機の風向きとは違う方向を向き、ブロックの角に近い小旗はクルクル回り出しました。角の近くでは風向変化が大きく強い風が吹いています。
ブロックのすぐ後ろの旗は、扇風機の風向きとは反対方向を向き、幅広い範囲の旗の向きが変わりました。
ブロックの隙間の旗が速い速度でクルクルと回り始めました。ブロックのすぐ後ろの旗は、風向きとは反対方向を向きました。
小さな旗を並べるだけで、建物のすぐ後ろでは風向とは逆向きの風が吹き、角の近くや建物の隙間では風向と風速が変化する強い風が吹くことが、確認できました。
空気や水などの流れの中に物体を入れると、その周り、特に下流側では流れが乱されて向きや速さが変化します。風が空気中の建物も同じです。建物の形や大きさ、風の強さが変わると、建物周辺の風の流れも変化します。建物によって遮られて風が弱くなるだけでなく、逆に強くなることもあります。
目に見えない空気の動きを見えるようにするためには、今回のように旗を立てたり、細い糸を貼ったり、煙やドライアイスを使ったり、さまざまな方法が用いられてきました。
ドライアイスを黒い紙の上に流し(扇風機は使わずに)、その流れの中にブロックを置いてみました。ブロックを避けるようにドライアイスが流れている様子が見えます。
実際に建物を建てる場合には、コンピュータによる数値解析を行ったり、大きな風洞実験施設を利用したりして、建物周辺の風の流れを調べますが、簡単な工作でも風の動きを目で見ることができます。街の中で気になる風が吹く場所があったら、実験してみるとおもしろいですよ。
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