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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

建物のまわりの風の流れを調べてみよう

2021年9月10日
熊本大学 工学部

高いビルの横を歩いているとき、急に強い風が吹くのを感じたことはありませんか?
ビルのそばで吹く強い風は、ビル風と呼ばれることもありますね。街の中で吹く風は、建物の影響を受けて風向や風速が大きく変化しています。
身近にあるもので小さな風洞実験装置と風向を確認するための小旗を作って、建物のまわりの風の動きを見てみましょう。100円ショップや文房具店で購入できるもので実験装置を作ることができます。

用意する物

  • 扇風機(サーキュレーター等)

A:風洞部

  • 厚紙(1cmの目盛入り工作用紙を使用)
  • コルクシート 1枚
  • コピー用紙 1枚
  • プラスチック板(透明)
  • セロテープ

B:小旗

  • コピー用紙(折り紙等でも良いです)
  • 針金(今回は0.5mmを使用)
  • 筒状ビーズ(長いものが作りやすいです)
  • 丸型ビーズ
  • 木工用ボンド
  • 両面テープ

  • 建物模型(今回はおもちゃのブロックを利用しましたが、いろいろなもので試すことができます)

※そのほかに定規、カッター、カッターマット、はさみ、ニッパー、ペンチ等を用意してください。

実験装置の作成

 図1のような装置を作ります。

図1 実験装置 図1 実験装置

風洞装置の作成

  1. 厚紙とプラスチック板(プラ板)を台形と長方形に切ります。(図2)

    図2 用意する厚紙とプラ板のサイズ 図2 用意する厚紙とプラ板のサイズ
  2. 台形に切った厚紙4枚をセロテープで貼り付けて、扇風機の風を集める筒(縮流部)を作ります。

  3. 長方形の厚紙に1cm間隔で1cmの切り込みを入れて、組み合わせて2cm間隔のグリッド(整流グリッド)を作ります。(図3)

    図3 整流グリッドの作り方 図3 整流グリッドの作り方
  4. 整流部の外枠を厚紙で作り、2.の縮流部に取り付けてから、3のグリッドをはめ込みます。

  5. プラ板4枚をセロテープで貼り付けて、透明な筒(観測部)を作り、4.の整流部の先に取り付けます。

  6. 5.の観測部の吹き出し口に厚紙で作った筒を取り付けます。(今回使用したプラ板が薄かったので補強のために付けましたが、プラ板が変形しない場合はなくても問題ありません)

  7. 図4 風洞装置の外観図4 風洞装置の外観

    厚紙を直方体の筒状にして脚部を作り、観測部の下にセロテープで取り付けます。

  8. 観測部の底に入る大きさにコルクシートを切ります。(図5)

  9. コピー用紙をコルクシートと同じ大きさに切り、小旗を立てる目印の線を引きます。

  10. 8.のコルクシートの上に9.の紙を貼り付け、小旗を立てる部分に針金で穴をあけておきます。

    図5 観測部底部シートのサイズ図5 観測部底部シートのサイズ

小旗の作成

  1. コピー用紙を1.5cm×3cmに切ります。
  2. 1.の紙を半分に折り、真ん中に折り目をつけておきます。
  3. 針金を3cmに切ります。
  4. 針金の片方の端をペンチで少し折り曲げ、1.5cm分ビーズを通して並べます。
  5. 2.の紙に両面テープを貼り付けます。この時、用紙の端から両面テープがはみ出さないようにしてください。
  6. 両面テープの剥離紙を剥がし、紙の真ん中(折り目の上)に針金に通したビーズを置いて半分に折り曲げます。
  7. 旗の部分がよく回転することを確かめます。
  8. 旗の下に丸型ビーズを通し、木工用ボンドで固定します。
  9. 1.~8.を繰り返し、小旗をたくさん(今回は20本)作ります。
図6 小旗の作り方図6 小旗の作り方

実験方法

  1. コルクシートに貼った用紙の印に合わせて小旗を並べて立てます。(コルクシートにうまく刺さらない場合には、木工用ボンド等で固定しても大丈夫です。)
  2. 小旗をたてたコルクシートを観測部の底にはめ込みます。
  3. 扇風機を縮流洞の横にセットしてスイッチを入れ、風洞内の旗がすべて風の流れ方向に向くことを確かめます。(小旗がうまく回らないときは、作り直しましょう。)
  4. 建物の模型を旗の風上におき、風下の旗の動きを観察します。
図7 小旗をたてたコルクシート図7 小旗をたてたコルクシート
図8 観測部内の様子図8 観測部内の様子
図9 扇風機と風洞を並べた様子図9 扇風機と風洞を並べた様子

実験結果

実験1 直方体のブロックの平面を風に向けて置いた場合

 ブロックのすぐ後ろの旗は、扇風機の風向きとは違う方向を向き、ブロックの角に近い小旗はクルクル回り出しました。角の近くでは風向変化が大きく強い風が吹いています。

実験2 直方体のブロックを傾けて置いた場合

 ブロックのすぐ後ろの旗は、扇風機の風向きとは反対方向を向き、幅広い範囲の旗の向きが変わりました。

実験3 ブロックを2つ並べて置いた場合

 ブロックの隙間の旗が速い速度でクルクルと回り始めました。ブロックのすぐ後ろの旗は、風向きとは反対方向を向きました。

解説

 小さな旗を並べるだけで、建物のすぐ後ろでは風向とは逆向きの風が吹き、角の近くや建物の隙間では風向と風速が変化する強い風が吹くことが、確認できました。

 空気や水などの流れの中に物体を入れると、その周り、特に下流側では流れが乱されて向きや速さが変化します。風が空気中の建物も同じです。建物の形や大きさ、風の強さが変わると、建物周辺の風の流れも変化します。建物によって遮られて風が弱くなるだけでなく、逆に強くなることもあります。

付録

 目に見えない空気の動きを見えるようにするためには、今回のように旗を立てたり、細い糸を貼ったり、煙やドライアイスを使ったり、さまざまな方法が用いられてきました。

 ドライアイスを黒い紙の上に流し(扇風機は使わずに)、その流れの中にブロックを置いてみました。ブロックを避けるようにドライアイスが流れている様子が見えます。

おわりに

 実際に建物を建てる場合には、コンピュータによる数値解析を行ったり、大きな風洞実験施設を利用したりして、建物周辺の風の流れを調べますが、簡単な工作でも風の動きを目で見ることができます。街の中で気になる風が吹く場所があったら、実験してみるとおもしろいですよ。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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