化石資源由来のプラスチックの世界の生産量は、この60年ほどで83億トンに上ります。そのうち63億トンが廃棄されて一部は環境中を漂い、環境を汚染しています。
このまま何の対策もしないでいると、2050年には150億トンものプラスチックが廃棄されると考えられています。
廃棄されたプラスチックは最終的に海へ行き着き、マイクロプラスチックとなって生態系を乱すだけでなく、現在では人の健康への悪影響も懸念されるようになってきました。
この社会問題に対する一つの解決策として、自然環境中で分解される植物由来のプラスチック(バイオプラスチック)の開発と実用化が求められています。
現在のバイオプラスチックは種類も少なく、海洋での生分解性を十分に獲得したものも限られています。しかも、それらは食糧と競合する糖から製造されるものがほとんどで、食糧難の時代に倫理的な問題点も孕んでいます。
この問題に対し、我々は、農業廃棄物などの食糧と競合しないバイオマスに焦点をあてて研究開発を行っています。これにより、環境だけでなく人間社会に対しても負の影響を最小化したバイオプラスチックの生産が可能となることが期待できます。
生物学、化学、工学などの異分野融合によって、バイオプラスチックの生産だけでなく、循環リサイクルに適した新しいプロセスの開発を企業と共同で進め、真に環境に低負荷な製品の実用化を目指しています。このような製品を実用化し、プラスチックを利用する人々へ働きかけることで、その意識の変革を促すことが初めて可能になります。
利用者の意識が変わり、より持続的(サステナブル)な製品開発へとフィードバックする。この繰り返しによって、環境と調和した未来社会へとつなげることを目指して研究開発を行っています。
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