トップページ > なんでも探検隊 > 化石資源に頼らず植物バイオマスから作るプラスチックを資源循環する

なんでも探検隊

化石資源に頼らず植物バイオマスから作るプラスチックを資源循環する

2021年12月17日
金沢大学 理工研究域
生命理工学系 バイオ工学コース 化学反応工学研究室

 化石資源由来のプラスチックの世界の生産量は、この60年ほどで83億トンに上ります。そのうち63億トンが廃棄されて一部は環境中を漂い、環境を汚染しています。

 このまま何の対策もしないでいると、2050年には150億トンものプラスチックが廃棄されると考えられています。

 廃棄されたプラスチックは最終的に海へ行き着き、マイクロプラスチックとなって生態系を乱すだけでなく、現在では人の健康への悪影響も懸念されるようになってきました。

 この社会問題に対する一つの解決策として、自然環境中で分解される植物由来のプラスチック(バイオプラスチック)の開発と実用化が求められています。

 現在のバイオプラスチックは種類も少なく、海洋での生分解性を十分に獲得したものも限られています。しかも、それらは食糧と競合する糖から製造されるものがほとんどで、食糧難の時代に倫理的な問題点も孕んでいます。

 この問題に対し、我々は、農業廃棄物などの食糧と競合しないバイオマスに焦点をあてて研究開発を行っています。これにより、環境だけでなく人間社会に対しても負の影響を最小化したバイオプラスチックの生産が可能となることが期待できます。

 生物学、化学、工学などの異分野融合によって、バイオプラスチックの生産だけでなく、循環リサイクルに適した新しいプロセスの開発を企業と共同で進め、真に環境に低負荷な製品の実用化を目指しています。このような製品を実用化し、プラスチックを利用する人々へ働きかけることで、その意識の変革を促すことが初めて可能になります。

 利用者の意識が変わり、より持続的(サステナブル)な製品開発へとフィードバックする。この繰り返しによって、環境と調和した未来社会へとつなげることを目指して研究開発を行っています。

多糖類とバクテリア発酵セルロースから作られたコップ多糖類とバクテリア発酵セルロースから作られたコップ
CA-10wt%CNF複合材フィルムCA-10wt%CNF複合材フィルム
※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

関連記事

2013-03-15

環境への取り組み

新潟県次世代地域エネルギー開発拠点

長岡技術科学大学工学部

2020-04-03

なんでも探検隊

人と地球に優しい生産システムを目指して

広島大学工学部

2010-01-25

環境への取り組み

ナノテクノロジーを使ってクールアース50(低炭素社会)の実現を目指す!

山口大学工学部

2025-02-21

工学ホットニュース

環境微生物の力で未来を拓く ポリマー廃棄物の生物変換技術最前線

長岡技術科学大学工学部

2015-01-15

環境への取り組み

資源循環型社会構築のためのレアメタル分離剤開発

佐賀大学理工学部

2015-07-30

環境への取り組み

山形県のバイオマス資源から取得した微生物による創農薬への挑戦

山形大学工学部

金沢大学
理工学域

  • 数物科学類
  • 物質化学類
  • 機械工学類
  • フロンティア工学類
  • 電子情報通信学類
  • 地球社会基盤学類
  • 生命理工学類

学校記事一覧

なんでも探検隊
バックナンバー

このサイトは、国立大学56工学系学部長会議が運営しています。
(>>会員用ページ)
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。
これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。