数あるスポーツのうち、最もシンプルなもののひとつにランニングがあります。休日になると公園でジョギングを楽しんでいる人をよく見かけますね。皆さんも体育の授業で長距離走に取り組んだことがあるでしょう。皆さんの中には、走ることが得意で、とても速く走れる人もいると思います。でも、この記事を書いている私のように、とても遅いのにすぐに膝や腰が痛くなってヘロヘロになり、平然と自分を追い抜いて走り去ってゆく友人の後ろ姿をうらやましく思ったことがある人も多いのではないでしょうか。私の場合は日頃の運動不足という大きな理由がありますが、日夜運動に勤しんでいる人でも走るのが速い人や遅い人、フルマラソンを走れる人やすぐに関節が痛くなってしまう人、など様々な人がいます。こうした違いはどこから生まれるのでしょう?
信州大学繊維学部の小関道彦研究室では、国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で、アスリートランナーと初心者ランナーの走り方の違いについて調べています。具体的には、モーションキャプチャシステムと呼ばれる装置を使って、ランナーが走っている時の各関節の三次元的な動きを計測します。この作業を、複数のランナーに対して行いました。得られたデータを分析した結果、競技会に出場しているアスリートランナーと、普段からランニングを行っていない人では、ランニングフォームに様々な違いがあることが分かりました。
この結果を聞くと、初心者もアスリートランナーの走り方を真似ればラクチンに速く走れるようになれるんじゃないか、と思う人もいるかもしれません。でも、残念ながらそんなに簡単ではなさそうです。アスリートランナーは、これまでのトレーニングで身体を鍛えているから今の走り方が最も効率的なのです。十分に身体を鍛えていない初心者がアスリートランナーの走り方を真似るだけでは身体に余計な負担をかけることになってしまうかもしれません。何事も努力を積み重ねなくちゃ成果は得られないってことですね。今後、両者の走り方の違いについてさらに分析し、初心者ランナーに対する効果的なトレーニング方法について考えていきます。
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