スマホなどのモバイルデバイス、家電製品など種々の機器類、コンピュータなどをネットワークで相互に接続して様々な目的に利用・活用するInternet of Things (IoT)やCyber Physical System (CPS)や世の中の多様で膨大なデータを利用・活用しようとするビッグデータ解析・利用はますます広まり、重要度も増しています。これらは、普段の暮らしや電子政府・電子自治体などでも重要になってきています。そのため、IoTやビッグデータの収集、解析、配布には高いセキュリティが求められます。一方、IoTもビッグデータの収集、解析、配布には様々な機器、ソフトウェア、システムが関係します。それらの機器、ソフトウェア、システムはそれぞれ独自のデータフォーマットや通信方法を用いていることがあり、相互接続には、双方向の変換が必要になります。これらの変換を個別にそれぞれの機器で行ったり、機器に新にコンピュータを接続して実現すると、ソフトウェアのバージョンアップ、セキュリティなどの管理・運用がとても大きな負担となります。また見落としによる障害の危険性も高くなってしまいます。
そこで我々が用いているのがメッセージ基盤です。メッセージ基盤は、ネットワーク上で相互に接続するもののデータ フォーマットや通信方式をデータ転送しながら変換することができます。また、その変換は集中管理することができるため、前述のような管理コストやセキュリティの問題を著しく抑制できます。この基盤では、ネットワークで意味のあるデータのかたまりをメッセージとよびます。メッセージの内容に応じて送信先を変えることもできます。これによって、例えば、河川の水位を見ながら、その水位に応じて警報などの内容や送り先を変えることもできます。
ビッグデータも、データそれぞれについて独自のデータフォーマットを持っていることも多く、データを提供するサーバが使う通信プロトコルも一つに決まっているわけではありません。前述のIoTなどと同様にビッグデータの収集、解析、配布に対しても、メッセージング基盤はセキュアで柔軟なData Connectivityを実現し、それによってそれぞれのデータやその時々の状況に応じた適切な解析、蓄積を行うことを可能にします。
メッセージング基盤は、これらを実現するために、データの発信者、受信者、データの内容や種々の外部状況に応じて配送先をダイナミックに変更できるインテリジェントな配送を行うものです。通常はネットワークの基盤部分に用意されたメッセージングルーターなどを相互に連携させます。
一方、膨大なデータがセンサーなどから流れる場合や、センサーで得られたデータをすばやく近くの機器の制御に使わなければならないこともあります。電力の需要と供給をみながら全体を制御するスマートグリッドやロボットなどがあてはまります。このようなケースでは、ローカルに閉じて処理できるものはそこで処理を行い、それ以外はメッセージング基盤を使うほうが良いと考えられます。これらについては、ローカルに処理できるものは、メッセージング基盤の機能の一部をフォグコンピューティングで処理を行い、処理をすばやく行い、遅延を抑えています。
メッセージング基盤は、気象センサー網、スマートグリッド、工場、道路上の情報通信などに広く応用が期待できます。
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