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なんでも探検隊

人間並みに言葉を操る知的システムの実現を目指して

2017年3月3日
静岡大学 情報学部

 ここ数年、「人工知能」が注目を集めています。人工知能とは何か、人によって考えが違うでしょうが、人間の知能をコンピュータで実現する、と考えると、言葉をいかに扱うかということは中核的な課題であるといえます。言語を操ることは人間に特有の機能であり、思考・意識・コミュニケーションといった高度な知的機能の基礎だからです。人間の言語をコンピュータで扱う工学分野を自然言語処理といいます。人間が言語を扱う仕組みはわかっていないことも多く、コンピュータによる言葉の処理もまだまだ不十分なレベルで、解決すべきことの多い挑戦的な分野です。

 静岡大学情報学部行動情報学科の狩野研究室では、そうした自然言語処理の研究を行っています。研究の柱のひとつは、自然言語処理の応用です。知識源を探索して答えを導く質問応答システムを構築し、「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトにて大学入試問題の自動解答を試みています。また、司法試験の自動解答と法律文書の処理を行っており、自然言語処理や質問応答に加え、論理や抽象といった高度な処理が必要になる、挑戦的な研究課題です。将来的な応用として、裁判など法律関係の仕事の自動化による支援が考えられます。電子カルテの処理など、医療テキストの処理も行っており、JST CRESTの支援により精神疾患の診断支援、厚生労働科学研究費により電子カルテの自動処理などの研究を行っています。将来的には、医療現場を助けることのできる診断支援システムの構築が目標です。大規模学術文献からのテキストマイニングも行っています。

 もう一つの研究の柱は、より人間に近い振る舞いをする対話システムの構築です。話し言葉の分析、対話の戦略、発話の文生成、発話のタイミング、心理言語学の応用、音声認識、音声合成など、未知のことが非常に多いテーマのため、関連する要素は多岐にわたり、究極的なテーマともいえるでしょう。そのため最終的には、一つ目の研究の柱も統合されていくことになるでしょう。具体的には、会話ゲーム「人狼」をプレイする人工知能を作成する人狼知能プロジェクトにオーガナイザーとして参画しており、特に会話の理解・生成の自然言語処理部分に挑戦しています。

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