この分離膜はナイロンやポリエステルなどの繊維を作る技術が応用することで、水分子だけが行き来のできる特殊な分離膜が作られます。この分離膜を用いて海水から真水をつくることができます。また汚染された水をきれいに浄化することもできるので、排水の再利用などにも用いられています。水資源の枯渇は世界的な問題となっていますが、繊維のもつ機能は、このようなところにも使われているのです。
光ファイバーは石英ガラスやプラスチックを素材として作られている、光を伝えることのできる素材です。光は通常まっすぐにしか進みませんが、光ファイバーは自由に曲げることができるので、光を電線に沿うように遠くまで伝えることができます。インターネットやテレビなど、通信システムの根幹を担う、最も大切な素材と言えるでしょう。光ファイバーの材料の開発では、太さを大きくすることや、コストを低くすること、また曲げや熱に強いこと、長寿命化、といった改良によりさまざまな機器への応用も期待されています。
河川の水を私達の家に届ける際に、水の浄化・消毒を行い、安全な飲み水にする装置が水浄化機です。沈殿やろ過を用いてゴミを取り除き、さらに薬品を使って水に溶け込んでいる有害な物質の除去・殺菌を行うことで、水をきれいにします。沈殿やろ過には、ものの流れ方を解明する「流体力学」が、有害物質の除去・殺菌には、フィルタや逆浸透膜の開発や物質の化学反応を解明する「物質工学」が使われています。これらの学問から生み出される技術によって、私達は安全な水を使うことができるのです。
カーナビは、自動車などが今どこにいるのかを知らせ、目的地までの進み方を知らせる機械の事です。今いる場所は、宇宙の衛星からの電波での情報で知る事(GPSシステム)が多く、それに自分の走行距離などの情報を加えて教えてくれます。目的地までのこれから先の情報や進む方向、到着までの時間などを音声やディスプレイで教えてくれます。車から取り出して、町中を歩く時にも使えるタイプ、テレビなどが付いているタイプなど、様々な機能が付いている最新機種もあります。カーナビを作るには、「機械工学」、「情報工学」、「画像工学」、「電気電子工学」等の工学技術が必要です。
重粒子線とは炭素イオンなどの粒子を加速させ、高エネルギーの放射線として生成したものです。これをがん患部にピンポイントで照射して、がん細胞を攻撃して死滅させ、切らずにがんを治す最先端の治療法が重粒子線がん治療です。 胃や腸などの不規則に動く臓器などには不向きですが、局所に留まっているがん、従来は難しいとされてきた骨にできるがんにも有効です。正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが可能とされ、痛みや副作用もほとんどなく、治療期間が短くできるというメリットもあります。
比較的低い東京タワーから送信されている関東エリアのテレビの電波は、高層ビルの増加に伴い電波障害が広がって きました。それを軽減するためにより高い塔が計画され、2008年に建設が始まり、完成後は地デジ用の電波(UHF波)を送信する事になっていま す。塔の高さは634mと自立式の電波塔としては世界一の高さで、日本の建築技術の粋を集めて2011年中に竣工する予定となっています。
地震が発生した場合、最初にP派(初期微動)が、次にS派(主要動)が地表に到着します。一般的にP派よりS派のほうが大きく、強力であるため、地震による被害は、ほとんどがS派到達以後に発生しています。そこでP波をキャッチし、震源や規模、各地のS派到達時刻、想定される震度等を推定し、強い揺れが始まる前に知らせる予報及び警報が緊急地震速報です。緊急地震速報はテレビやラジオ、インターネットなどを通じ流れていますが、これらをつけていない時に緊急地震速報を自動的に受信し、警報を発するものが地震警報器です。鉄道部門における「ユレダスUrEDAS」もその一例です。
これまでのモバイルフォン(携帯電話)は、電話にコンピュータの機能を足したものでした。スマートフォンは、電話の 機能を持つ超小型のコンピュータといえます。Windowsパソコンと同じように、コンピュータを働らかせるソフトウエア(アンドロイドや iOS4等)があり、その環境の下で、インターネットやモバゲーやその他の色々なアプリを動かすことができます。
電気自動車は電池(リチウム電池やニッケル水素電池)に貯めた電気エネルギーを使って走らせます。ところが、 電池の性能が高くないために長い距離を走れません。この欠点を補うために、低速走行には電気モーターを、高速走行時にはガソリンエンジンを、その 中間では二つが一緒になって働くシステムが開発されました。これがハイブリッドシステムで、これを用いて超低燃費の自動車が実用化されています。
生鮮食料品から加工食品に至まで、安全で品質の高い食品を消費者に提供するためには、その生産・製造・加工技術は勿論のこと、その鮮度・品質を保つためのパッケージも重要です。例えば、野菜・果物の鮮度を保つためのMA(modified atmosphere)包装が用いられています。MA包装とは、30?100ミクロンの穴が開けられたフィルムで密閉する事により、外気からの酸素の取り入れと二酸化炭素の排出量をコントロールし、「低酸素・高二酸化炭素」の状態にし、青果物の鮮度を保つ方法です。使用するフィルムの種類や厚さでガス透過性をコントロールし、適切なガス組成にコントロールすることができます。この様な素材開発・製造には化学工学の技術が活用されています。
日本で開発された時速200km以上で走行する高速鉄道を新幹線といい、線路、運行システム、新幹線車両からなります。高速で走行する新幹線車両は、安全性、高速性、快適な乗り心地を追及して研究が進められ、「のぞみ」、「はやぶさ」、「みずほ」など新しい車両が開発されています。新幹線車両の開発には、「機械工学」、「電気電子工学」、「材料工学」、「情報工学」など工学のあらゆる分野の知識が求められます。
空気には小さなホコリ、ダニの死骸、杉や檜の花粉等、体の中に入ると健康を害する物質(アレルゲン)がたくさん含まれています。これ らの汚染物質は、空気の流れを興し、フィルターを通過させることにより取り除くことができます。 空気清浄機とは、この働きをする装置です。産業用 のクリーンルームを作る空気清浄機は、1立方フィートの空気中に含まれる粒径0.5μm以上の塵埃を1個以下にすることができます。
炭素繊維は、文字通り炭素からなる繊維です。アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に、何度も高温で蒸し焼きにして余分な成分を取り除き炭化して作った繊維です。「鉄よりも強く、アルミよりも軽い」と言われる様に非常に軽量で、強度と弾性が高いのが特徴です。その上、錆びない、熱に強い、といった特性があり、主にプラスチックとの複合材料として使用されています。このような特性を生かし、今ではゴルフクラブのカーボンシャフト、テニスラケット、航空機などに用いられています。
紫外線を浴びると、シミ、シワなどの肌トラブルだけでなく、皮膚ガンの危険もあります。そこで、化粧品には、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤が用いられています。紫外線吸収剤は化学反応によって紫外線を吸収し、熱などのエネルギーに変換して、紫外線が肌内部の皮膚細胞に影響を及ぼすのを防ぎます。一方、紫外線散乱剤は酸化チタンなどの無機微粒子や粉体で、肌の表面で受けた紫外線を物理的に乱反射させ、紫外線が肌の内部へ侵入して悪影響を及ぼすのを防ぎます。最近、C60フラーレンが遊離ラジカル(シミの原因物質を作り出す)を活発に捕捉する性質を利用して、C60フラーレンを添加した化粧品も市販されています。
アメリカの会社が開発した外科手術用ロボットのことす。 立体画像(3D)画面を見ながら、がんなど100種類以上の手術をする事が出来ます。ロボットの腕の先には、小さなカメラや電気メスなどがついて、細かな手術を正確に3メートルくらい離れた場所で行う事が出来る。日本でも、様々な手術ロボットの開発が進んでいる。地球の裏側にいる医者がロボットを使って患者の手術を行う研究も進んでいる。手術ロボットを作るには「機械工学」「情報工学」「電気電子工学」「通信工学」「医療工学」「素材工学」などの先端技術が必要です。
LEDは電気をかけた時に光る(発光する)半導体から出来ている装置の事です。最近は、炭素と水素から出来ている有機物の半導体を使ったLEDも作られています。(OLED)少ない電気で明るく光る照明で、蛍光灯よりも寿命が長いことなど省エネ製品の代表として、注目されています。車のライト、信号機など交換がしにくい所などで、LED製品が活躍しています。LED製品を作るには「材料工学」「電気電子 工学」「合成化学工学」「半導体工学」「物理工学」等の先端技術が使われています。
紙とインクによる従来の書籍ではなく、書籍を電子化したものを再生する端末機器(コンピュータ)です。手の平に収まるサイズのものから、ノートサイズのものまであります。どんな場所でもインターネットを通じて本を読むことができ、また、一台あればインターネットから様々な本を読むことができます。さらに、電子化された書籍を読むだけでなく、映像、動画、音声を組み合わせて再生でき、表現の可能性は大きくなります。電子書籍端末の製造には、「電気電子工学」などの電子機器に関する知識や、「通信工学」などの通信に関する知識が必要です。
薬(くすり)とは、飲んだり、塗ったり、注射したりすることで、人や動物の病気やけがを見つけたり(診断)、なおしたり(治療)、よぼう(予防)をするための物のことです。医者の指示でしか患者に出せない医療用医薬品(いりょうよういやくひん)と、薬局・薬店で誰でも買えるかぜ薬などの一般用医薬品(いっぱんよういやくひん)とに分けられます。最近ではコンピュータを使って役立つ薬を予想することやバイオ化学の技術を使った薬の開発なども行われています。 薬を作るには「合成化学」「化学工学」「バイオ工学」「機械工学」「電気工学」「情報工学」などの最新技術が必要です。
チューインガムの主成分は天然のチクル樹脂や、合成樹脂のポリ酢酸ビニルも用いられています。ポリ酢酸ビニルのガラス転移温度は約29℃(これ以下では、ガラス状、それ以上ではゴム状)という性質を巧みに利用して、ガムとして利用されています。噛む前(29℃以下)ではべたつかず、口の中(約36℃)へ入れるとガラス転移温度以上となるため、ガム独特のゴム状になります。チョコレートと一緒にガムを噛むとガムが溶け出しますが、これはチクルやポリ酢酸ビニルが、油溶性のためです。なお、ポリ酢酸ビニルは接着剤としても広く使われています。なお、食品の包装材料として、各種の高分子フィルムが用いられています。
サプリメントとは、ダイエタリー・サプリメントの略で、 日本では食品に分類され、健康補助食品もしくは一般的に健康食品と呼ばれるものを指します。現代人の生活習慣の変化に伴い、日常の食事で不足しがちな栄養素を補うものとして、ビタミン類、ミネラル類など多くのサプリメントが販売されています。天然成分を抽出・凝縮したものは比較的高価ですが、化学合成や発酵により安価かつ大量に供給されています(天然成分の方が効果がでやすという説もあります)。ここでは、化学工学、発酵工学、機械工学などの技術が活用されています。
| 私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |