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授業紹介

被爆都市「広島」で平和と共に都市・建築を考える

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 世界最初の被爆都市「広島」、広島大学の建築プログラムでは、この広島を主たる題材に取り上げ、都市・建築との関わりに話題を広げることで、戦後、平和都市として発展してきた広島のあり方、広島が問うものを、全国から参集した学生達に改めて認識させると同時に、都市・建築に関する基礎的・応用的な知識・技能の習得を目指しています。

 例えば、世界遺産として有名な「原爆ドーム」については、当初、保全か解体かの議論が持ち上がった時点から、現在へと至る流れを辿ることにより、保存の意義を考えさせると共に、歴史的建築物の保全にも通じる具体的な事例としても学びを深めさせていますし、5度にもわたる保存工事での使用技術の紹介により、建築物の長寿命化において避けては通れない建築材料や建築施工における保全・修復技術の基礎を学習させています。

 また、都市計画的な観点からは、戦前、戦中のまちの様子を紹介した上で、原子爆弾による市街地の被害の甚大さを認識させると共に、戦後の広島復興都市計画および広島平和記念都市建設計画誕生までの流れを紹介しています。そこで重要な役割を果たした建築家としては丹下健三が著名ですが、建築史・意匠学的な観点からは、丹下の代表的な作品を中心にその思想を理解させると共に、平和記念公園を中心とした戦後復興との関わりについて解説しています。

 さらに、現在の都市・建築における問題にまでテーマを広げており、例えば、関東大震災以降の20世紀前半までの自然災害・戦災からの復旧・復興の過程を概説し、東日本大震災や熊本地震など近年の事例にも触れながら、建築計画学的な観点から住宅供給や住宅再建に関する問題を指摘しています。あるいは、原爆投下からわずか3日後に一部運行再開した路面電車の事例等から、エネルギー需給面での広島復興の状況を起点として、オイルショックや自然災害等の有事を契機として、戦後なされてきたエネルギー施策の変遷を学び、建築環境・設備学的観点から、SDGsやCOP21の達成等、平和な未来創出のために都市・建築で何が可能かを考えさせています。

 本講義は、原爆ドームをはじめとする被爆建物や、丹下が主導した都市計画による街の姿が生きた教材として今も残る、「広島」ならではの取り組みであり、学生達にも身近に感じられることから、大きな効果を上げています。

広島大学 先進理工系科学研究科 建築学プログラム
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