長岡技術科学大学工学部情報・経営システム工学課程の3年次2学期科目「人工知能論」において、アクティブラーニング・反転授業の手法を部分的に取り入れ、それらのメリットのみを生かすための手法を実践しています。本稿ではこの手法について解説しますが、その前にまず授業の概要を以下説明します。
この授業では最初に人工知能の基礎知識について概観した上で、「はじめてのディープラーニング」(我妻幸長著、SB クリエイティブ、2018)の1章から6章までの内容を扱うことにより、フルスクラッチでディープラーニングを実装することを学び、独力でモデルを構築できるようになることを目標とします。授業の終盤では各学生が Kaggle 上のコンペティションのうち好みのものを自ら選択し、自分で開発したフルスクラッチモデルを用いて参加し、できるだけ上位の成績を目指すという PBL 型の取り組みを実施しています。
さて、この授業において実施している「良いとこ取り」メソッド、今のところ定まった名前はないのでここでは筆者(情報・経営システム工学課程 知能情報学研究室 白川智弘)の名前から「白川メソッド」と仮称致しますが、その概要は以下の通りです。
1.比較的細かく章・節・項が分かれた教科書を準備する。
2.テキストの各項目を事前に各学生に割り当てる。
3.学生が順に割り当て箇所についての説明を実施・発表することにより講義を進める。(必ずしも全箇所を学生に割り当てるのではなく、教員側で説明した方が良いと思われる箇所については教員が説明を実施する。)
4.説明の不足や不調な箇所について、教員側で補足説明を実施する。
白川メソッドでは、このような方法により学生にアウトプットの機会を与えていますが、アウトプットの機会と質を教員側である程度コントロールしています。ディスカッションを基本とし、授業をアウトプットの場とするアクティブラーニングや、予習をインプット、授業をアウトプットの場とする反転授業は、いずれも授業の質が学生のアウトプットの質に依存するという弱点がありますが、本メソッドは教員の介入を若干強めにすることにより、その弱点を補う技法となっています。学生からは概ね好評であり、学生の理解度、授業アンケートの結果はメソッド導入後向上しました。
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