建築は「読むこと・見ること」にはじまります。どのような意図や歴史的経緯の中でその建築がつくられたかを学び、実際にその環境と空間を体得することが求められます。鹿児島大学では2年生終了時の春休みに、3泊4日で関西での学外実習を行い、歴史的な建築から現代建築までを実体験します。京都旅行を実施している大学も多いですが、学部4年間の折返し時点の2年次に約9割の学生が参加し、関西建築実習を永年継続している大学は少ないかもしれません。
伊丹空港に集合し、まずバスで多数の国宝・重要文化財のある西本願寺へ向かい、徒歩で重要文化財の角屋や京町家の杉本家を見学して、三条通りを巡り宿泊。翌朝は朝の光の中で三井寺の国宝光浄院・勧学院を鑑賞し、午後は小グループに分かれて重要文化財の聴竹居でゆっくり解説に聞き入りました。3日目は、まだ誰もいない朝の唐招提寺から法隆寺、そして卒業生が設計にかかわりできたばかりの大阪芸術大学30号館で設計者から直に説明を聞き、大阪の鹿児島大学建築学科のOBOGの案内で工事中の現場へ。大阪に宿泊して最終日は朝から神戸港の建築群を見てから、竹中大工道具館では昨日見たばかりの唐招提寺の組物の構造を学び、淡路島の安藤忠雄氏が設計した淡路島の本福寺・水御堂へ。夕方近くには兵庫県小野市の国宝浄土寺浄土堂に到着し西日に照らされた浄土堂を堪能し、伊丹空港で解散となりました。
学生たちは、スケッチをして説明を聞きメモをとり、3つの建築を選びレポートにまとめます。昨年は、建築家藤井厚二がどのような考えでつくったかを詳しく聞くことができ、昭和3年に建てられた聴竹居が学生達の一番人気となりました。古代から中世、近世、近現代の建築に触れ、日本建築の流れを学ぶだけでなく、学生間、教員や卒業生との交流まで幅広い体験ができます。この学外実習は学生達が3年生にステップアップするための貴重な機会となっています。
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