「建築」が備えるべき基本は、古来から「用・強・美」の3つと言われています。この中の「強」は建築骨組の強度や耐久性を意味します。特に日本は世界でも有数の地震国ですから、大地震時に建築物が倒壊し人命が無くなることを防ぐように建築の柱や梁から成る骨組を設計する必要があります。この建築骨組の設計を「構造設計」と呼んでいます。構造設計をするには、「荷重」に関する知識、「力学」に関する知識、「材料」に関する知識が必要となってきます。
神戸大学工学部建築学科では、構造設計を行う際に必要となるこれらの知識や考え方を学ぶ「構造系科目」が1年次から4年次にわたって開講されており、最終的には実務設計に対応できる総合的な設計能力を身に付けることを目標としています。
3年次に開講される「建築鋼構造学」では、事務所ビルや体育館などに用いられる鉄骨で構成される骨組の構造設計の基本を学びます。鋼構造の設計の基本は、骨組を構成する柱、梁およびブレースといった部材の破壊に至るまでの挙動を知り、設計式の意味を理解することから始まります。部材の破壊には、圧縮材の曲げ座屈、曲げ材の横座屈、板要素の局部座屈などがありますが、これらの座屈現象を1年次と2年次に学んだ「力学」と「材料」に関する知識に基づいて解き明かしていきます。また、部材と部材をつなぐ接合部の設計も重要です。接合部には柱と梁をつなぐ柱梁仕口や柱と柱をつなぐ柱継手などがあります。「溶接」や「高力ボルト」を使った接合部の設計方法や施工方法を学びます。
構造設計と聞くとコンピュータを使った計算をイメージするかもしれませんが、構造設計の第一歩は、紙と鉛筆を用意して、あれこれ考えながら試行錯誤を繰り返すことから始まります。さらに優れた構造設計を行うには、構造原理に関する確かな知識に裏付けられた創造力や想像力が要求されます。建築学科では、このような教育を受けた卒業生が設計事務所、建設会社、自治体、ハウスメーカーなどに就職し、社会のいろいろな分野で活躍しています。
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