私は弘前大学理工学部数物科学科の4年生です。数物科学科では数学や物理学の基礎理論を体系的に学び、各コースの専門分野でさらにそれらを活用していきます。私は数理科学的に問題解決できる力を養う数理科学コースに所属しており、「現在走行中のバスの位置情報をスマホ自作アプリで取得して、バスの現在位置と各バス停への予想到着時刻をバス利用客が見ることができるWebサイトを作成する」という工学的な研究を行っています。所属学科の専攻分野ではない工程にかなり時間をとられているため想定より忙しい毎日を送っています。今回はこの研究で私がどのような活動をしているのかを簡単に紹介します。
実験は弘前城と駅を循環して走っている弘南バスの土手町循環バスで行いました。まず、バスの位置情報をリアルタイムでサーバーに送信するアプリの開発を行いました。アプリ開発の予備知識が無かったため参考書を読むことから始めました。しかし、最新技術は日々更新されるため実際はWebサイトで勉強することが多いです。またWebサイトで扱っているプログラミング言語の違いや前後のソースコードの関係性に対応するのがとても困難です。数秒間隔でバスの位置情報を送るだけですが、電源供給をスマホとモバイルバッテリーにする必要がありました。スマホをバスに乗せてデータ送信の実験を行い、予期しない不具合が発生しては原因究明しつつアプリを修正する、というサイクルを繰り返していました。
次にサーバーに蓄積されたデータをユーザーに表示する「Webサイトの作成」を行いました。位置情報を取得するだけのアプリと違い、バス利用客の目線に立って見やすく操作しやすい設計を心がける必要があります。アプリより難易度は低いですし、見た目の細かい修正や色彩にこだわれるので楽しいです。位置情報データの誤差の補正や到着時刻の推定などを行い、卒業研究として発表します。
この研究の大変なところを前面に出してしまいましたが、自分の頭の中にある構図をアプリやWebサイトで形にできたときの達成感は他では得られないと思います。また大学の授業を含めると4年間で多くのプログラミング言語を勉強することができたため、確実に将来に活かせる経験ができました。
最後になりましたが、実験に協力して頂いた弘南バスの方々に感謝したいと思います。ありがとうございました。
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