2021年12月17日
学部生の頃は成績も中程度で、授業内容もひとつひとつ理解しているとは言い難かったです。試験に通ることが精一杯だったと思います。しかし、研究室に入ってからは、これまで学んできたことの意義がより明確になり、同じ物事に触れた場合でも格段に理解度が増しました。それは、授業で扱った事柄と現実に起きていることの結び付きを実感したからです。なので、せっかく理系学部に入学したのなら、是非大学院へ進学することをおすすめします。
当研究室では、環状化合物として知られるポルフィリンおよびフタロシアニン誘導体の合成を行い、中心金属として様々な金属を挿入した金属錯体の同定および磁気的性質や蛍光特性等の研究を行っています。それは、ヘムタンパク質の活性中心であるポルフィリン鉄錯体の物性を評価し、生体内で起きているヘムの反応機構について理解することを目的としているからです。研究を進めるためには、有機化学と無機化学、そして機器分析の知識が必要となります。学部生の頃に受けた授業では、これらが独立した分野で、それぞれ全く異なる方向性であると感じていましたが、研究室に配属されテーマを与えられたとき、様々な分野が密接に関わることで初めて成り立つものであること、そしてそのとき、これまで勉強してきたこと全てが大切であったことをわかりました。また研究室では、研究だけでなく、他の学生と協力して運営したりする機会も多くあり、そうしなければ自分たちが研究をする環境も維持できません。この経験は社会に出てからも役立つことだと考えています。
専門職に就くには大学院への進学が必須だと思いますが、それは進路が狭まるということでなく、選択肢が生まれるということを意味します。逆に、学部を卒業しただけでは、学んだ専門性を十分に活かすことは難しいです。化学系は景気に左右されにくく、いつの時代も需要がある、つまり世の中に不可欠な学問分野です。なにより、物質を扱う学問である化学は、この世にない物質を創り性質を暴く、すなわち研究対象を自ら産み出すことができる唯一の学問です。このクリエイティブな活動を経験しないのは損であると、胸を張って宣言できます!
将来目指している(目指していた)職業は何ですか? | 化学系の研究開発職です。 |
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工学部への進学を決めたのはいつごろ? | 高校で理系を選んだ頃です。 |
工学系への進学理由は? | 理科科目の中でも化学が一番好きだったからです。 |
大学を選ぶ決め手になったものは何ですか? | 化学系学部のある国立大学で、実家からさほど遠くないところで選びました。 |
大学では何に力を入れて勉強(研究)していますか? | 有機化学と無機化学、そしてそれらを組み合わせた診断・治療技術に関することです。 |
入学前と、入学後、工学部のイメージの違いは? | 特に先入観は持っていませんでした。 |
女子が少なくて困ったことは? | 学問を学ぶ上で、女子の人数が少ないことはあまり気になりませんでした。 |
理工系で就職は有利だと思いますか? | 有利不利よりも、学んだ専門性が職種と明確に結びつく利点はあると思います。 |
文系の友達・知人と違うな~と思うところは? | どの分野でもとにかく勉強しないといけないと思うので、違いはそこまで感じませんでした。 |
高校時代に理数系の科目は得意でしたか? | 好きな分がんばれたので、理系科目の方が得意でした。 |
高校時代の苦手科目は? | 文系科目です。 |
ニガテ科目克服法や勉強のコツは? | 我慢して地道に取り組みました。 |
工学部に来て大変なことは? | 試料分析をする上で装置を使う機会が多く、元々苦手意識があったため慣れることに苦労しました。 |
工学部に来てよかった事は? | 学びたいと思えた分野に出会え、また大学院に進学したことでその分野に対する専門性だけでなく様々なことに対して視野が広がったことです。 |
掲載大学 学部 |
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |