社会の進化には科学技術の進歩が不可欠ですが、ただ技術が進歩するだけでは十分ではありません。それがどのように社会を変え、人々の生活をどのように豊かにするかが重要です。AIのような技術は特に、社会の在り方を根本から変える可能性を秘めていますが、使い方次第では悪影響をもたらす恐れもあります。先端技術を開発する技術者には、その技術を社会に役立て、より良い未来を創造するビジョンが求められます。
この記事では、工学部の中でも特に情報系の学問を通じて、どのように社会貢献ができるかを紹介します。皆さんは「シビックテック」という言葉を聞いたことがありますか?シビックテックとは、市民(Civic)とテクノロジー(Tech)を組み合わせた言葉で、情報技術を使って社会課題を解決しようとする活動を指します。WebやAIなどを活用して、より良い社会を実現しようとする人たちが世界中で活動しています。シビックテック活動では、情報技術を活用して社会課題に取り組むことで技術者として成長するチャンスになったり、コンテストで賞金が貰えたりします。
名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻(情報工学領域)の白松俊研究室では、シビックテックのような市民の共創的な活動を支援するシステムを研究開発しています。特に、社会課題に関する議論や合意形成を支援するシステムを、「大規模言語モデル」と呼ばれるAIの技術を使って開発しています。図のシステムはその一例です。このような研究に、名古屋のシビックテック団体であるCode for Nagoyaの活動に参加しながら取り組んでいます。また、白松研究室では人工知能学会の市民共創知研究会という研究会の運営にも携わっています。この研究会では、シビックテックのようにAI技術を利用して市民と共に社会課題を解決することを目的としています。市民と研究者が協力し、AIを活用して新たな価値を生み出す様々な取り組みが行われています。
シビックテックに興味を持ったら、ぜひCode for Japanが開催するCivictech Challenge Cup U-22(CCC U-22)というコンテストに参加してみてください。これは、シビックテックを通じて社会課題に挑む22歳以下限定のコンテストです。自らの技術とアイデアで社会に貢献するという、貴重な経験ができると思います。高校生の皆さんも、社会課題に挑む技術者を目指してみませんか?
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