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生レポート!大学教授の声

鶏口牛後

2019年11月22日
神戸大学海事科学部 輸送包装研究室
齋藤 勝彦
輸送包装実験室輸送包装実験室

「鶏口牛後」・・小学5年生の時に父に教わった言葉が忘れられず、これまで歩んできた。とにかく、人と同じことをしないことが快感だった。故郷には周りに「船乗り」なんかいなかったし、「帆船」に乗ってみようなんて考える同級生はいなかった。商船大に入ってみると周りはみんな当たり前のように「船乗り」志向で気持ち悪く、ほとんどの同級生が進学しないので、大学院に進んでみた。

 大学院で「研究」のまねごとをやるようになると、新しいこと、人が今までやっていなかったことが、「是」とされることを知った。基礎学力の無いことを忘れて、「研究でメシを食いたい」と目覚めてしまった。例えが適切ではないかもしれないが、「交通事故」のように、たまたま大学で「助手」のポストに当たってしまった。研究室のボスから「5年で博士号を獲れ!」と厳命され、ひとまずは誰かが歩いてきた道の最短ルートで何とか学位をもらって、1年間の在外研究も楽しめた。帰国後はボスと喧嘩?して、自分の道を歩こうと異国で決めていた。帰国して2日後、阪神大震災・・・3年は研究できないと感じたが、3か月で研究ができるまでに戻った。

 震災に関する問題を調査しているうちに、「輸送包装」の分野が実社会でとても重要な位置を占めているにも関わらず、日本の大学では見向きもされていないことを突き止めた。いろいろな人に相談すると、「研究になるかどうかわからないので手を出さない方が無難だ」と言われ、俄然やる気になった。そうこうしているうちに、「日本で唯一の"包装"を名乗る研究室」として四半世紀になる。包装されず運ばれる製品はない。そして運んでいるうちに壊れてしまうことがあったり、無駄にたくさんのクッション材を詰め込んでいたりする現状はあまり変わらない。研究テーマに枯渇することはないし、関連企業技術部門の担当者から相談を持ちかけられ、共同研究や卒業生もピンポイントでお世話になっている。

 みんなと同じことをやっていないと不安だという声をよく聞くけど、同じことばっかりやっていたのでは、「オンリーワンとして花を咲かせ」ないよ!面白いこと、人と違っていることは、感度のいいアンテナを張っていればきっとすぐそこに見つけられると思います。

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