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生レポート!大学教授の声

好きなことを見つけてとことんのめり込んで欲しい

2019年10月11日
九州工業大学 物質工学研究系
竹中 繁織

なぜ応用化学の教授になったのか

私の人生を振り返るといろいろな方との巡り合いによって人生の方向が決まってきたような気がします。中学生の頃、廣﨑篤夫先生の影響を受けて歴史が好きになりました。その頃は気づいていなかったのですが廣﨑先生は「福岡県の城」等の書籍を執筆されている著名な先生でした。高校生になって考古学に興味が移って行き、小田富士夫先生の考古学の本や発掘調査に加わったりしていました。大学も考古学の道に進みたかったのですが、父親から「考古学では食っていけないぞ、工学部に行け。」と言われました。その頃、妹の家庭教師が九州工業大学の環境工学科の学生(現在、香川大学教授)が来てくれていました、その当時は環境工学がブームとなっていて、彼は、これからは環境の時代と力説されていたのを聞いて、九州工業大学の環境工学に入学しました。九州工業大学の環境工学は化学を基礎とした学科でした。その頃、数学は大好きだったのですが、化学はあまり好きでありませんでした。環境工学科では、中学、高校の理科教師の免許が取れるので教職の科目を取って大学を出たら高校の教師になろうと思っていました。3年生になって大阪大学から南亨先生が赴任されてきました。南先生から有機化学の面白さや学問の関する面白さを教えてもらいました。この時、大学院でもっと勉強したいという気持ちになりました。大学院は九州大学に行くことになりましたが、柘植乙彦教授に元で複素環の有機化学を勉強しました。博士課程2年が終了した時点で分析化学の講座の助手(現在の助教)に採用され、分析化学の道を歩みことになりました。ボスの高木誠教授は、最初に「僕は自分のコピーは作りたくない。自分と違うことをやって欲しい。バイオが面白そうだよ。」と仰いました。これからバイオ分析化学の道を歩むことになりました。また、米国ジョージア州立大学のD. David Wilson教授の下での研究もグローバルな視野で世の中を見ることができました。医学部の先生方との共同研究や研究室の学生たちに助けられながら研究を進めることができました。教授になったのは多くの方と出会い、影響され、好きなことを続けることができたからと思います。私の例は特殊かもしれませんが、好きなことを見つけてとことんのめり込むことができると自分の道が開けて、好きなことで食っていけるようになれると思います。

工学部の化学の面白さ

世の中のすべては化学物質から構成されています。この原理や仕組みを理解できれば世の中に役に立てようとするのが工学部の化学です。私は、現在、バイオ分析化学の観点からがん診断や抗がん剤の開発を行っています。最近、遺伝子の本質であるDNAは二重らせん構造だけでなく種々の構造が知られてきています。この中で四重らせんが注目されています。四重らせんは、がん遺伝子や寿命を支配しているテロメアDNAに関与していることがわかってきました。私たちは、同じ北九州にある九州歯科大学と連携して癌に関連するテロメラーゼの酵素活性に基づいた口腔がん診断や四重らせんを特異的に安定化する分子による副作用の低い抗がん剤に開発を行っています。同学科には、太陽エネルギー貯蔵や燃料電池等の人類の未来のエネルギーを研究している教授もおられます。化学は薬学部、農学部、理学部でも勉強します。でも実用化に近い工学部の化学に若い世代の方々に興味を持って頂ければと思います。

開発した4本鎖DNA特異的分子と4本鎖DNAとの複合体のコンピューターモデリング。開発した4本鎖DNA特異的分子と4本鎖DNAとの複合体のコンピューターモデリング。
研究室のマスコットキャラクター「てろめちゃん」、耳が4本鎖DNAになっていて体は染色体バンデング模様を表している。研究室のマスコットキャラクター「てろめちゃん」、耳が4本鎖DNAになっていて体は染色体バンデング模様を表している。
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