子供の頃はいろいろな実験を見て「なぜ? おもしろい!」と思っていたのに、受験の頃になると「数学や物理が苦手だから・・・」と理系、工学部への進学をためらってしまう人も多いかと思います。日本人の場合、生まれてから何年もかけて、生活を通して日本語を学び取りますが、英語などの外国語を学ぶのは、また一苦労です。何事もマスターするのはコツコツと着実な努力と、あとはシャワーのように浴び続けることで慣れるのが肝心なようです。もう15年以上前になりますが、米国留学のチャンスを得ました。つたない英語でのコミュニケーションは大変でしたが、こと研究に関しては、周囲の研究者が優秀だったこともあり、数式やプログラムを示せば、英語では伝わらなかったニュアンスまで理解してもらうことができ感動しました。おかげで、思ったほど英語が上達しなかったのは計算外でした。
数式のルール(文法)も物理法則も万国共通です。これらをマスターすれば、各自のアイディアを具体化して世界に広げることができる理系の強力なコミュニケーションツールとなります。皆さん、是非、夢を実現してください。
夢といえば、子供の頃は天文少年で、宇宙関係の仕事に携わりたいと思っていました。大学時代に電波の研究に方向転換し、レーダや電波センサ、リモートセンシングの研究をしていますが、上記の米国での研究時には地球を観測するという立場で、航空宇宙関係の研究者とともに研究することができ、刺激的な毎日でした。さて、少し研究の話をしましょう。電波に興味を持ったのは、宇宙にも関係できそうだということに加え、人間は直接感じることのできないモノだからです。身近な電波の応用といえば通信や放送などの応用を思い浮かべるでしょうが、センサとしての機能も優秀です。広い意味では、光も電磁波の仲間ですが、私たちが「見える」のは、そのごく一部です。これらを駆使すると物体の僅かな動きを捉えたり、物体を透過して内部の様子を調べたりなど私たちの五感を越えた情報を得ることができます。私たちも様々な研究を行っております。上記の航空宇宙関係の研究として、最近、人工衛星や航空機から地表の植生や構造物を観測する研究を行っています。図は上空7000m付近の航空機からのレーダの観測データを使って新潟市にあるサッカースタジアムの3次元構造を映像化したものです。電波の目で見た世界もカメラなどの光学映像と同じような処理ができる時代になってきています。これから、まずます面白い技術が出てくるものと思います。これから工学研究社・技術者を目指す皆さんのご活躍を期待しています。
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |