ものづくり と 後片付け |
テクノロジー(技術)は、人工衛星を飛ばして地表の天気を予測し、四国と本州に巨大橋を架けて陸の動脈を結び、巨大な船でエネルギー資源を海上輸送します。これらの新奇なもの、巨大なもの、全ての役立つものはつくられた時から、最終的には廃棄物となる宿命を負っています。人工衛星、巨大橋、巨大船舶もすべて、いずれはゴミになる日がやってきます。災害や事故、戦争は、突発的に、局所的にゴミを大発生させます。そして、ゴミになった時に環境を汚染したり、負の影響をもたらす可能性が生じます。私の専門である環境科学は、サイエンスとテクノロジーの中間に位置する管理科学の一分野であり、文明の利器(ゴミ)の後片付けのための科学と言えるかもしれません。また、後片付けを考慮に入れたものづくりが必要だ、とも言えます。
21世紀は海洋の時代と言われ、日本では2007年にようやく海洋基本法が成立しました。これから海洋開発が本格化して、海底からメタンハイドレートや稀少金属の採掘が現実化します。日本はこの先、周囲の海のおかげでエネルギー危機を脱し、明るい未来を享受できるかも知れません。しかし、海の開発に伴って生じるかもしれない海の中での異変は、通常は人の目に見えません。果たして、今後、海にどのような悪影響が起こるのか危惧されます。予防原則に則って、持続可能な海の開発を行う必要があるゆえんです。海の現場を知り、海の環境を保全することは、地球上に住む我々の責務であり、海事科学の大きな目標の一つです。
海事科学部は、海事を冠する日本で唯一の学部で、サイエンスとテクノロジーを結んだ研究をしています。海陸両用の工学系の多分野の研究室が、理学系、文系の研究室と混在しています。多様な価値観をもっている教員が、海事科学という新しい学問をつくろうとしています。私たちは、この混沌とした中から、新しい価値感をもった海事科学が芽生えることを信じて、取り組んでいます。そのためにサイエンスと工学に興味をもった君たちの若い力を必要としています。
掲載大学 学部 |
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |