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生レポート!大学教授の声

 

失敗は創造への手がかり

 
2014年8月28日
愛媛大学 工学部 機械工学科
高橋 学

失敗は創造への手がかり

みなさんは工学についてどんなイメージをもたれていますか?
工学という学問が先にあって、様々なものづくりができているのではありません。人は道具を使い、多くの知恵をだし、創意工夫をすることで技術が生み出されてきました。それと平行に自然科学、言い換えれば物理学が発展し体系だったのはニュートンの時代17世紀という地球誕生の歳月に比べれは誤差のような時間しか経過していません。物理学を得た我々は如何に理想(真)に近く、優れた"もの"を大量に、しかも同じ品質で製造し、普及できるか、という観点で考えるようになったものが工学であると私は考えています。

そもそも優れた"もの"を生み出すことは、誰も経験したことのない事であり、そもそもそのような"もの"ができるかどうかもわかりません。しかし、工学は人々が必要と考えるものを形にして示すことのできる学問です。物理の法則を基礎とし、未知の課題にチャレンジしていくことの期待感、高揚感、そして少しの不安感は運動会でスタートラインに立ったときの気持ちに似ています。

チャレンジすると、たくさんの失敗に出会います。頭の中で思い描いた結果とは正反対になることも多々あります。そこで、駄目だと思い諦めてしまうことが失敗である、と私は思っています。やり続けることによって失敗は経験に変わり、自分自身を成長させてくれます。やり続ければ必ず答えが見つかります。それが最初に考えた道筋と違っていても異なる道でたどり着けることができます。その異なる道は自分の考えを越えた創造された道なのです。

私はものづくりの場に居ながら、「破壊力学」を専門としています。ものづくりと破壊?
正反対の事柄ですが、新しい優れたものづくりをするためには、限界を知ることも必要です。日本ブランド製品はどの国に行っても安心して利用されているのは、このような物理学を基本にものづくりがされているからです。

ぜひ、皆さんもものづくりを違った観点から客観的に評価できる材料強度・破壊力学分野で活躍してみませんか?
お待ちしております。

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