金属材料の造形ができる3Dプリンタ |
みなさんは3Dプリンタという言葉を聞いたことがありますか? インクジェットプリンタのようにインクを紙に少しずつ吐出して文字や写真を描くのが2次元のプリンタだとすると、樹脂や金属を少量ずつ積み重ねていって3次元立体を造形するのが3D(3次元)プリンタです。3D-CADという立体の設計情報があれば、容易に立体形状を作成できるということで注目を浴びています。米国では小学校にもこの3Dプリンタが設置され、ものづくりに関する教育を子どものころから行う政策をとるようになりました。
そうは言っても、3Dプリンタについてはまだまだ研究する余地があります。そのひとつは金属材料を使う3次元造形技術です。樹脂材料による3Dプリンタはかなり普及しており、フィギュアのような趣味的なものから航空機パーツのようなものまで作られるようになっています。樹脂よりも強くて高い温度にも耐える金属で自在に形状を作れればさらに適用の範囲が広がります。金属による3次元造形技術において、現在の主流はレーザーを用いて金属粉末を溶かして固める粉末焼結法という手法です。しかしながら、使用できる金属材料に制限があったり、強度・密度の点で課題を抱えていたりします。一方で、近年では金属の接合技術である溶接を利用した造形技術の研究が進められており、航空機産業などで商業的に利用可能な技術としても期待を集めています。
そこで我々は、写真のようにアーク放電で金属を溶かして固め積層する方法に注目しています。送給装置から連続的に出された金属ワイヤは、基板との間で発生するアーク放電とジュール発熱によって先端が溶け、微少な液滴となって飛んでいきます。その溶滴が基板に積層していくことで造形が行われます。その後、エンドミルという回転する工具で精密な形状に仕上げます。
遠くない未来には、宇宙船にこのような3Dプリンタを搭載し、長期間に渡る宇宙航海の途中でも、壊れたり故障した部品を直ちに補修しながら航海を進める事ができるようになるかもしれません。
工学系の学部では、数学、物理、化学、場合によっては生物や地学などの基礎的な学問をベースとして、社会に役立つものづくりに関する研究を行っています。みなさんも一緒に未来に向けた研究をやってみませんか?
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