「はやぶさ」の帰還に思う。ものづくりは人々に感動を与える。 |
小惑星探査機「はやぶさ」が7年間の長い航海の末、地球に帰還したことに感動された方は多いのではないでしょうか。新聞によると、地球に戻ってきたカプセルの見学者が2ヶ月足らずで10万人を越えたとありましたが、自分もその1人です。この出来事の大切な意味は、科学技術をベースに創ったものは人々の感動と共感を呼ぶことを示してくれたことではないでしょうか。これはノーベル賞とは違ったものづくりの一つの側面であり、しばらく忘れかけていたことの一つだと思います。ノーベル賞は原理原則を追求して評価されますが、ものを創り上げ、機能させることで感動と共感を呼ぶのです。最近の科学技術は高度化し、ブラックボックス化して、一般の人からは疎遠になりがちですが、この「はやぶさ」の帰還により、ものづくりが人々の夢を実現する手段であることを再認識させられました。
「はやぶさ」の帰還は、数々の幸運が重なって成し遂げられたとも言えますが、この探査機を設計した人、創り上げた人の熱意と思慮深さがあったからこそ実現したと思います。4つのエンジンの駆動回路を組みかえることができるように予め設計しておくことなど、設計者の気配りと成功させたいと思う熱意以外の何ものでもありません。ものを創り上げ、機能させるには、当事者の情熱無しには実現しません。
ものづくりの醍醐味は、企画、設計、作製、評価というものづくりのプロセスを通して、自分の思いを具体化し、形に完成させ、それが見事機能したときの喜びを味わえることにあります。それは科学的な根拠に基づき、材料、装置、システムなどを新しく創り上げることではじめて味わえる喜びです。しかも、「はやぶさ」は、創る喜びが自分だけの喜びに終わるのでなく、ものづくりが人々に大きな感動を与えられることを示してくれています。
大学の工学系学部では、このものづくりのプロセスの基礎を学ぶことができます。ものづくりのプロセスを自分のものにするには、この基礎を学ぶことが大切ですし、最も近道だと思います。ものづくりで自分の夢を具現化して、人々の感動を呼びたいと思う熱血漢、工学系学部に来たれ。また、すでに進学している人は、人々の感動を呼ぶことができる手段を学んでいると考えれば、さらにやる気が出るのではないでしょうか。ものづくりは人々に感動をも与えます。
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