東京湾の安全を守るため、将来を見据えた研究・訓練の日々 |
私は東京湾の水先人になるため、平成20年から始まった三級水先人養成コースの三期生として、日々勉学に励んでいます。水先人とは、日本の港や水域の状況を良く知らない外国などから来た船に乗り込み、その水域特有の事情をアドバイスし、安全に船を導くための国家資格です。
大学院では水先人を養成するという明確な目的があるため、非常に特殊な授業形態を成しています。水先人には必要な知識と技術を習得するため、座学、操船シミュレータ訓練、乗船訓練、水先現場訓練、そして修士論文のための研究を行います。座学では、船舶の操縦性能や船体運動など工学の専門分野を中心に、海事法規、海事英語などを学びます。英語は、外国人の船長と対等に専門用語で会話できることが求められます。操船シミュレータ訓練では、現役水先人や現役を引退された方々が講師として、シミュレータを用いて操船を行います。操船シミュレータは実物の船を模しているため、規模が大きく、実際に船に乗船して操船している感覚です。そこでは、基本的な操船から、タグボートを用いた離着岸操船など、講師の方々が長年の経験で培った高度な操船技術を惜しみなく教えてもらえるので、とても勉強になります。また、修士論文のための研究は、さまざまな訓練を並行して行うため十分な時間が確保できない中、研究計画をきちんと立て、地道に行うことが重要です。私は、陸上と違い道路がない「海」という環境の中で、船舶が安全に航行できるよう、東京湾の海上交通ネットワークの構築について、交通流解析やシミュレーションにより深く研究しています。これも水先人になる上で、専門的な知識を持つという重要な事であると考えております。
以上のように、工学系の中でも特殊ではありますが、明確な目標に向かって勉強できることは、大変嬉しいことですので、「今」に悔いを残さず、将来に向かって精一杯全速前進しています。
掲載大学 学部 |
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私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |