私は機械システム工学科を卒業後、大学院修士課程に進学し、遮熱塗料の応用に関する研究を行ってきました。遮熱塗料とは日射反射率を高めた塗料です。遮熱塗料を物体に塗布すると、日射による物体の表面温度上昇を抑制することができます。気候変動に伴って、夏期の気温は上昇しており、宮崎でも暑熱による熱中症リスクの増大や家畜の生産性の低下が問題となっています。
私の研究では、遮熱塗料が持つ表面温度上昇抑制効果を、土木建築分野や南九州地区で盛んな農畜産分野へ応用することを目的として、消波ブロック製作現場で用いられる鋼製型枠や牛舎の屋根に遮熱塗料を塗布した際に、型枠周囲で働く作業員の暑熱環境の改善や牛舎内の作業員や牛の熱中症リスクの軽減について検討してきました。私の研究の実験は、作業員が働いている屋外の鋼製型枠の組立て作業場や、大学附属牧場の肥育牛舎内の仮設足場や牛房で行いました。学部時代の屋内でのモデルを使った学生実験とは環境が全く異なり、日射や気温、風など様々の因子が結果に影響します。機械工学分野に所属する私が、土木建築や農畜産という異分野の研究を始めた当初にはわからないことがとても多くて困惑しましたが、研究室の先輩や指導教員をはじめ、他分野の先生方からのご指導や、共同研究先の地域企業の方々や作業員の皆さんのご協力のもとで活動するうち、私は少しずつ成長できたのではないかと感じています。
異分野の人々と連携して行ってきた研究を通じて、私が学部、大学院修士課程で培った力は、社会人になってからも大きな糧になってくれることと思います。今後、少しでも成長して社会に羽ばたいていきたいです。
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