私を成長させた「モノづくり」 |
工学部の醍醐味といえば、やはり「モノづくり」だと思います。私は大学生活において、このモノづくりを研究を通してこれでもかというほど堪能しました。しかもこれは単なる工作ではなく、共同研究の中で生まれた責任あるモノづくりです。そしてこの経験は、私を大きく成長させたと自負しています。
卒業研究、修士研究、博士研究までを合わせれば、共同研究を行った企業・機関は6~7に上ると思います。そしてそれぞれの共同研究テーマにおいて、自分のアイデアを理論にとどめず試作へと運びました。こうした共同研究のチャンスや装置試作のチャンスが存在するということが、工学系大学の素晴らしいところであり、私はこのチャンスを掴むことで自分自身を大きく成長できたと思います。
もちろん苦しいこともありました。特に苦しかった一例を挙げると、私が修士課程で行っていた化粧検出フィルタの設計開発です。このフィルタは、デジカメに装着すると顔に塗布しているファンデーションが検出できるようになるというもので、化粧に関する行動解析や化粧手順のカウンセリングなど、コスメティクス業界で応用が期待される技術です。しかしながら、理論設計の段階で中々満足する精度が得られず試行錯誤する期間が長引いたうえ、その後も試作したフィルタを使ってみたところ理論精度に多く及ばず苦戦が続きました。そして何より、不十分な結果を定期的にビジネスパートナーに報告しなければならないこと、そして先方はこれらの結果から何らかの決断を検討しているという事実が、本当に大きなプレッシャーとなっていました。こうした状況を経験したからこそ、私は自分の研究に責任が伴うことを自覚し、責任を全うするために結果を出す執念というものを学びました。この苦しかった時期は、何にも代えがたい成長の糧(かて)となっています。
そして苦しみの先に待っているのは、もちろん感動と喜びです。ハードルを乗り越えた達成感というものもありますが、それよりも圧倒的に大きいのは、人々に感動を与える喜びです。自分の試作機を見てもらい、使ってもらい、驚きと感動を感じてもらう、この喜びは工学を研究する工学系大学だからこそ得ることができるものだと思います。そしてこの経験が、私に対してエンジニアやリサーチャーとして生きる意義を明確にしてくれました。
今は企業の研究開発部門にて働きはじめたところですが、これまでの経験とそこから得た成長を携えて、新たな活躍の場を獲得していきたいと思っています。
掲載大学 学部 |
豊橋技術科学大学 | 豊橋技術科学大学のページへ>> |
私たちが考える未来/地球を救う科学技術の定義 | 現在、環境問題や枯渇資源問題など、さまざまな問題に直面しています。 これまでもわたしたちの生活を身近に支えてきた”工学” が、これから直面する問題を解決するために重要な役割を担っていると考えます。 |