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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

液晶レンズが生み出す、驚きの光学技術・未来のテクノロジー

2025年2月13日|秋田大学 大学院理工学研究科 河村研究室
動画1:一般的な光学レンズと液晶レンズの焦点面移動の違い

光を操る液晶レンズ。カメラ、スマートフォン、メガネ、そして自動運転車のセンサにも使われる光学技術の中でも、特にユニークな存在です。焦点可変液晶レンズは、レンズパワーを自由自在に変えられる魔法のようなレンズです。機械的駆動部が不要で、電圧だけでレンズパワーを自由自在に調整できます。高速駆動化も視野に入れて研究を進めており、液晶マイクロレンズアレイや、顕微鏡・カメラシステムへの応用も進んでいます。液晶レンズは、私たちの生活をより豊かにする可能性を秘めた、非常に興味深い技術です。

動画2:機械的駆動部の必要がない液晶レンズによるピント調整

 私たちの身の回りに溢れる光学技術。ドローン搭載カメラ、スマートフォン、メガネ、そして自動運転車のセンサなど、その応用範囲は多岐にわたります。そんな中で、私が研究している液晶レンズは、まるで魔法のようにレンズのパワーを自由自在に変えられる夢のような存在です。

 円形パターン電極と外部制御電極を備えたガラス基板に、軸対称の不均一電界を加えることで、液晶分子の配向状態を精密にコントロールすると、円形パターン中心部から縁にかけて放物線状の実効的な屈折率分布が生じ、レンズとしての機能を発揮します。液晶レンズの最大の魅力は、機械的な駆動部が不要なことです。レンズのパワーは、各電極に印加する電圧を調整するだけで、凸レンズ特性から凹レンズ特性まで、自由自在にコントロールできます。さらに、新しいタイプの液晶レンズでは、楕円形状と同等の機能も実現でき、電圧制御だけで焦点距離などの光学特性を変化させることができます。また、液晶ディスプレイの電圧駆動法を応用することで、従来の駆動時間を短縮することも試みています。さらに、二分割四角形状の電極構造を持つ液晶マイクロレンズアレイも試作しました。左右の分割電極に印加する電圧の大きさを変えることで、実効的な屈折率分布を変化させることができ、個々のレンズの焦点距離を可変制御できるだけでなく、焦点面の面内シフト制御も可能になります。

 液晶レンズは、顕微鏡やカメラシステムにも応用できます。レンズパワー可変機能を持つ液晶レンズを拡大光学系に応用することで、3次元形状の試料に対して連続的に焦点画像を測定することができました。球面収差などを補正できる二層円形パターン電極構造を持つ液晶レンズを用いた顕微鏡システムも開発し、各焦点画像を取得し、微分処理によって深さ方向のマッピング処理を行うことも可能で、奥行き方向の3次元カメラシステムも実現しました。

 このように、液晶レンズは様々な分野で応用が期待されています。特に、画像取得の分野では、3次元形状の試料に対して連続的に焦点画像を測定したり、深さ方向のマッピング処理を行うことが可能になるなど、その可能性は大きく広がっています。液晶レンズの研究は、光学技術の新たな可能性を拓く鍵となるかもしれません。今後も、液晶レンズの可能性を追求し、より豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えています。

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