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化学発光(ケミルミネッセンス)

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Pict-Labo~写真と動画で科学をのぞく~

製鉄の副産物を使って高い耐久性をもつコンクリート構造物を造る

2018年11月16日|岡山大学 環境理工学部
製鉄の副産物を使って高い耐久性をもつコンクリート構造物を造る (動画1)BFS凍結融解

高炉スラグは、高炉で鉄鉱石から銑鉄を製造する際に発生する副産物で、日本国内で年間約2,400万トン発生しています。高炉スラグは、セメントの原料にしたり、微粉末にしたものがコンクリートの材料として使われていましたが、砂状のスラグをそのままコンクリートの細骨材として使うことができます。高炉スラグを細骨材に用いることで、塩害、凍害、硫酸に対して高い抵抗性を持つコンクリートが製造可能です。

高炉スラグ細骨材
砕砂

写真1:(引用元)土木学会:高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートに関する研究小委員会(354委員会)成果報告書,コンクリート技術シリーズ,No.117,2018.7

 高度経済成長期に建設された構造物が、建設から50年以上経過し、老朽化が顕在化してきています。凍結防止剤を散布する寒冷地における道路橋では、活荷重の増加、凍結融解作用などによって、鉄筋コンクリート床版の土砂化が生じています。また、道路の下に埋設されている下水道では、バクテリアの働きによって発生した硫酸で、コンクリートが劣化しています。これらのコンクリート部材では、大規模な修繕や更新が必要とされており、更新に用いられるものには、厳しい荷重や環境作用に対して高い耐久性をもつものが求められています。

 製鉄所の高炉で鉄鉱石から銑鉄を取り出す過程で、副産物として高炉スラグが発生します。高炉スラグは、溶融状態のものを水で急冷する水砕処理を行うことで、砂状の物になります。砂状の高炉スラグの多くは、セメントの原料になったり、粉状にしたものがコンクリートの原料として混ぜたりして有効利用されています。砂状の高炉スラグは、そのまま砂の代わりとしてコンクリートの骨材として利用することも可能です。

 通常のコンクリートに用いられる川砂利や砕石といった骨材は、セメントペーストと反応することはありません。そのため、骨材とセメントペーストの間には、脆弱な層が形成されます。これに対して、高炉スラグ細骨材は、セメントペーストと反応することで、セメントペーストと強固に結合します(写真1)。その結果、高炉スラグ細骨材を用いたコンクリート(BFSコンクリート)は、塩分の浸透が抑制されたり、凍結融解の作用に対して高い抵抗性を発揮したりします(動画1)。また、高炉スラグ細骨材を用いたコンクリートを硫酸に浸漬すると、高炉スラグ細骨材と硫酸が反応して、表面に強固な二水石こうの層が形成されます。その結果、普通コンクリートに比べて高い抵抗性を示すようになります(動画2)。

 劣化が顕在化した部材を取替える大規模メンテナンス工事において、製鉄副産物の高炉スラグを用いることにより、より高品質なインフラ整備を目指しています。

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