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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

スマホのセンサで高さを測る

2021年2月8日
新潟大学 工学部

スマートフォンには目に見えないくらいの微小な機械を作る方法であるMEMS技術を利用した小さい加速度センサが搭載されています。このセンサを用いると、重力加速度の向きが分かるので、水平面に対する角度を計測することができます。また、ある物体までの距離や物体の高さを計測する方法として三角測量法があります。これはある地点から対象物を見た角度から、三角関数を用いて、対象物までの距離や高さを推定する方法で、地図の作製やレーダー、三次元形状計測などに応用されています。スマホのセンサと数学の知識を応用して、自分で遠くの対象物の高さを測ってみましょう。

用意するもの

  • スマートフォン
  • 水平からの角度を表示できるアプリ
    (AndroidスマートフォンであればGoogle Playストア、iPhoneならApp Storeで「角度計測」などと検索すれば無料で使えるものがあります)
  • 地図上の距離が測れるアプリ(Googleマップなど)
  • 巻尺
  • 電卓アプリもしくは関数電卓、Excelなど三角関数が計算できるもの

手順

  1. スマートフォンの角度計測アプリを起動します。

  2. 対象物までの距離を調べます。山や高い建物を遠くから測る場合、Googleマップなどの地図アプリで現在地と対象物までの距離を調べることができます。近くのものであれば巻尺などで測っても良いでしょう。

  3. 対象物の頂上の角度を測ります。穴の開いた筒(ラップの芯など)や双眼鏡などを用いて目で覗き、建物の頂上が見えたときの角度をスマートフォンのアプリで計測します。

  4. 対象物までの距離dと頂上の角度θから高さhを計算します。
    より、でhが計算できます。tan⁡θの計算は電卓などを使えばできます。

計測例

建物までの距離が550m、角度が15°の場合、h=550×tan⁡15°≅147mとなります。あまり高くないものの場合は、目線の高さや標高の違いも考慮してください。

なお、対象物までの距離が分からない時は、2点の距離が分かれば、それらの場所から角度を計測することで求めることができます(下図参照)。高さの計算式は以下になります。

加速度センサについて

物体が加速されると、ニュートンの法則(運動の第2法則)に従い、それに比例した力が同じ方向にはたらきます(F=ma)。MEMS(micro-electro-mechanical systems)は半導体の微細加工技術を応用して作られる微小な機械のことで、スマホの加速度センサではこの技術を用いて作った0.01 mm以下の微小なおもりが加速度により力を受けることで、その方向に動くことを利用して加速度を検知しています。地球上では鉛直下方向に常に重力加速度がはたらいていますので、スマホのz軸(画面上方向)の加速度をazとすると、下記のようにazから角度θを求めることができます。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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