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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

暗くなると自動点灯するセンサライトを作ろう

2019年3月8日
筑波技術大学 産業技術学部

はじめに

 今回は、マイコンなどでプログラミングするのではなく、トランジスタのスイッチング動作を利用した簡単な電子回路で、暗くなると自動点灯するセンサライトを作ってみましょう。

センサライト(明)センサライト(明)
センサライト(暗)センサライト(暗)

用意する

 今回使用するものはいずれも電子部品を取り扱う店から高くても数百円程度で購入できるものです。インターネットからでも購入できるので、是非、挑戦してみてください。

  • CdSセンサ
  • LED(発光ダイオード)
  • トランジスタ(2SC1815、NPN型)
  • ブレッドボード

CdSセンサ

CdS

 CdSセンサは、カドミウムと硫黄を混ぜ合わせた半導体です。センサにあたる光の強さで電気抵抗の値が変化します。

LED(発光ダイオード)

LED

 発光ダイオードは電流が流れると光ります。2本の足が出ていますが、長い方(アノード)をプラス側に、短い方(カソード)をマイナス側に接続します。

トランジスタ(2SC1815、NPN型)

トランジスタ

 今回は、2SC1815というNPN型のトランジスタを使います。足が3本出ていますが、写真のような状態で左からエミッタ(E)、コレクタ(C)、ベース(B)の順になっています。

ブレッドボード

ブレッドボード

 ブレッドボードは、回路の試作などに使用します。図の通り、それぞれの穴が内部で縦または横につながっています。それを利用して各電子部品などを穴に固定し接続して回路を作ります。通常、回路の開発や製作を行う際には、ユニバーサル基盤などにはんだ付けする前に、ブレッドボードを使って動作の確認を行います。

他の部品

  • 抵抗(120Ω、100kΩ)
  • ジャンパー線(数本)
  • 乾電池(単3型4本)
  • 電池ホルダー(単3型4本用)
他の部品

作ってみよう

 最初に製作するセンサライトの構成図を示します。この図の回路を順番に組み上げていきます。

点灯回路構成図点灯回路構成図
  1. 分圧回路部分を組み上げる

    CdSセンサと100kΩの抵抗をブレッドボードに固定します。使用するジャンパー線の長さを考えて位置を決めると良いでしょう。
    CdSセンサの片方の足と抵抗の片方の足をジャンパー線(写真の青色)で接続します。CdSセンサと抵抗の足には向きはありませんので、どちら向きに固定しても構いません。
    CdSセンサの足(抵抗と接続していない方)をブレッドボードの-側の穴にジャンパー線(写真の橙色)で接続します。
    抵抗の足(CdSセンサと接続していない方)をブレッドボードの+側の穴にジャンパー線(写真の黄色)で接続します。

    分圧回路部分分圧回路部分
  2. 発光回路部分を組み上げる

    トランジスタとLEDをブレッドボードに固定しますが、それぞれ向きに注意する必要があります。写真の通りの向きで固定します。トランジスタのコレクタ(C、真ん中の足)とLEDのマイナス側(短い方の足)を接続するので、使用するジャンパー線の長さに合わせておくと良いでしょう。

    向きに注意向きに注意
    発光回路部分(その1)発光回路部分(その1)

     トランジスタとLEDを固定したら、トランジスタのコレクタ(C、真ん中の足)とLEDのマイナス側(短い方の足)をジャンパー線(写真の青色)で接続します。

    発光回路部分(その2)発光回路部分(その2)

     LEDのプラス側(長い方の足)に接続するように120Ωの抵抗を固定します。

    発光回路部分(その3)発光回路部分(その3)
  3. 分圧回路部分と発光回路部分を接続する

     分圧回路部分と発光回路部分を接続します。

     まず、それぞれの抵抗(CdS、LEDに接続していないほうの足)をジャンパー線(写真の緑色)で接続します。 さらに、CdSセンサの足(抵抗と接続した方)とトランジスタのベース(B)をジャンパー線(写真の黄色)で、もう一方の足とトランジスタのエミッタ(E)をジャンパー線(写真の橙色)で接続します。

    接続接続

     最後に、電池ホルダーの+と-をそれぞれブレッドボードの+と-に接続して完成です。

    完成完成

動作 実際に部屋の明るさを変えて試してみよう

 部屋の照明を消すか、CdSセンサの表面を指で覆って動作を確認しましょう。もし、LEDが点灯しなかったら接続に間違いがあるので、もう一度落ち着いて確認しましょう。トランジスタやLEDの向きは大丈夫なのか、ちゃんとつながっているのか、穴が一列ずれていただけでもつながっていないので、注意しましょう。

雰囲気を出してみよう

 作った回路に和紙でできたカバーなどをかぶせると雰囲気が出ます。一枚の和紙で筒を作るだけでも雰囲気が変わるので試してみてください。

和紙センサライト(明)和紙センサライト(明)
和紙センサライト(暗)和紙センサライト(暗)

動作原理

1.分圧回路

 CdSセンサは当たる光の強さで電気抵抗が変わります。映像でもわかるように、今回使用するCdSセンサは部屋が明るいと2.5kΩ程度で、暗くなると350kΩ程度になりました。皆さんもテスタなどで測ってみてください。動作のところで記したように、部屋を暗くしなくてもCdSセンサの表面を指で覆うと暗い状態を作ることができます。

今回の分圧回路部分を考えた場合、100kΩの抵抗とCdSセンサは直列に接続されているので、その合成抵抗は次のようになります。

合成抵抗 = 100kΩ + CdSセンサの抵抗

明るい部屋の場合: 合成抵抗 = 100kΩ + 2.5kΩ = 102.5kΩ
暗い部屋の場合 : 合成抵抗 = 100kΩ + 350kΩ = 450kΩ

単3乾電池4個を電源とした場合のCdSセンサの両端の電圧は、
電源電圧 × CdSセンサの抵抗 ÷ 合成抵抗 なので次のようになります。

明るい部屋の場合: 6V × 2.5kΩ ÷ 102.5kΩ ≒ 0.13V
暗い部屋の場合 : 6V × 350kΩ ÷ 450kΩ ≒ .4.67V

分圧回路分圧回路

2.トランジスタのスイッチング動作

 NPN型のトランジスタは、ベース(B)とエミッタ(E)の間に約0.7V以上の電圧が加わるとコレクタ(C)からエミッタ(E)に向かって電流が流れます。それ以下の場合には、電流が流れません。これをトランジスタのスイッチング動作といいます。
今回のセンサライトの回路では、CdSセンサの両端電圧がトランジスタのベースとエミッタの間に加わるようになっているので、

  • 部屋が明るいと0.7Vより低いので電流が流れずLEDが光りません。
  • 一方、部屋が暗くなると0.7Vより高くなり電流が流れてLEDが点灯します。

 この結果、CdSセンサを使った自動点灯回路が実現します。

点灯回路点灯回路

この回路の応用について

 発光回路側の抵抗(今回は120Ω)は、LEDに加わる電圧と電流を調整しています。この抵抗値を変えるとLEDの明るさが変わりますので、いろいろと試してみると良いでしょう。

 今回は、LEDが暗くなると自動点灯する回路でしたが、分圧回路側の抵抗とCdSセンサの位置を入れ替えると、今回とは逆に明るいとonになり、暗くなるとoffになるように変わります。こうしたことを参考に、いろいろと工夫して、明るさ・暗さで on/off するようなものを作ってみてください。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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