はじめに
電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する代表的な機械の一つにモーターがあります。今回は、比較的構造の簡単な直流2極モーターを作ってみましょう。
準備するもの
ここでは、ものづくり創成工学センターで独自に製作したキットを使用した説明をしますが、それぞれの部品に対応するものを準備していただければ大丈夫です。
- エナメル線:1巻
- 回転子(鉄の四角柱にステンレスの丸棒を差し込んだもの)
- コイル巻き枠(紙製)
- 整流子(円筒状の銅管を半月状に2分割し、それぞれに銅線を付けて、リング状の木枠(内径はステンレス棒に合わせる)にはめ込み、つづみ形にしたもの)
- ブラシ用針金(変形し難い固めの針金に導線を付けたもの):2組
- 円盤型磁石:2個
- 電池ボックス:1個
- モーター固定用土台、紙やすり、接着剤
作り方
1.コイルを巻いて電磁石を作る
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巻き枠に小穴を開けて、そこからエナメル線を外側に 5 cm ほど出しておき、巻き枠にエナメル線を巻きつけていく。
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エナメル線を中央まで巻いたら、巻き枠に作ったV字型の切り込みをまたいで、反対側の巻き枠にエナメル線を巻き付けていく。
- 巻き終わったら、巻き枠に小穴を開けて、外側にエナメル線を 5 cm ほど出す。
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巻き始めと巻き終わりの約 2 cm の部分のエナメル(絶縁塗料)を紙やすりで削り落として、電磁石のできあがり。
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最後に、電池をつないで、ゼムクリップなどが引きつけられることを確認する。
2.回転子を組み立てる
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(1)で作製した電磁石、整流子、スペーサー(リング状の木枠で内径をステンレス棒に合わせたもの)2個を準備する。
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回転子の軸(ステンレス棒)の両側からスペーサーを入れる。軸の一方に整流子をはめこみ、整流子の隙間が回転子の鉄心と同じ向きになるように接着剤で固定する。
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電磁石のエナメル線のみがいた部分に整流子の銅線をきつく巻きつける。余ったエナメル線は回転したとき他の部分にぶつからないようにコイルのほうに折り曲げておく。
3.ブラシと回転子を組み立てる
- モーター固定用土台にブラシを固定する。そのときに、ブラシを弧のように成形し、整流子にあたる部分を整流子の外径よりも小さくする。
- 写真のような部品を用意して、土台に取り付ける。
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写真のように回転子を取り付け、整流子にブラシがあたるようにする。回転をなめらかにするため、軸受けの部分と整流子の銅の部分にグリースを塗っておくとよい。
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最後に、写真のようなストッパーを付けて、回転子の軸がぶれないようにする。
4.固定子を取り付ける
- 写真のような部品を用意し、それぞれの板に磁石をS極とN極が逆になるように接着剤でくっつける。
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写真のように、回転子が回転しても当たらないギリギリの位置に①の部品を取り付ける。
5.電池ボックスを取り付ける
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電池ボックスと取り付け、ブラシから出ている銅線と接続すれば完成!
動作 スイッチを入れて動作を見よう!
2極モーターのしくみ
- 下図①のように、電流が整流子のピンク色から黄色に流れたとき、左右の固定子の磁石と回転子の電磁石が同極同士となり反発するため、時計回りに回転する。
- 電磁石のN極が12時の位置を超えると、左右の固定子の磁石と回転子の電磁石は異極同士になり引き合い、時計回りに回転する。
- 下図③の状態では止まってしまうが、回転の勢いで、整流子が切り替わり、電流が黄色からピンク色に流れるようになる。
- 電流が整流子の黄色からピンク色に流れると、回転子の電磁石のN極とS極が逆転し、固定子の磁石と異極同士になり引き合うため、時計回りに回転する。そして、回転し続けることとなる。