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おもしろ科学実験室(工学のふしぎな世界)

使い捨てカイロを作ってみよう

2017年11月10日
福井大学工学部 応用物理学科
分子科学講座

寒い季節がやってきました。寒さは苦手っていうあなた。冬に欠かせないのは使い捨てカイロ。どうして暖かくなるか知っていますか?今回は使い捨てカイロを作ってみましょう。

用意するもの

  1. 鉄粉
    試薬として販売されているもの。
  2. 食塩水
    5%の食塩水。100mLの水に5gの食塩を溶かす。
  3. バーミキュライト
    園芸用の土質改良材。園芸店で購入できる。
  4. ファスナー付きポリ袋
    70mm✕100mm程度。100円ショップで入手可

つくり方

図のように、ファスナー付きのポリ袋にバーミキュライト5gと食塩水5mLを入れます。次にティッシュにくるんだ鉄粉20gを入れます。
ポリ袋のファスナーを開けたまま、よくもみます。だんだん暖かくなってきます。温度計があれば温度を測ってみましょう。
充分暖かくなったら、ポリ袋のファスナーを閉めてみましょう。しばらくすると、温度がさがってきます。
さめたら、もう一度ファスナーを開けて、よくもんでみましょう。また、暖かくなってきます。

使い捨てカイロをつくってみよう

イベントなどでの工夫

大勢に対するイベントなどで、この実験をやってもらうためには、バーミキュライトと鉄粉を小さめのファスナー付きポリ袋に、食塩水をタレビン(蓋付きのプラスチック容器)に入れておき、それらを大きいファスナー付きのポリ袋に入れて配っておくと、短時間で簡単に実験してもらうことができます。

使い捨てカイロの仕組み

使い捨てカイロは鉄粉に食塩水をかけて、速くさびるようにしたものです。バーミキュライトは、食塩水をすうことによって、鉄粉に上手く食塩水を与えながら酸素と触れさせて効率的に鉄がさびるようにするためのものです。
鉄がさびると、使い捨てカイロの実験からわかるように、熱が出るのです。さびるのは、鉄が酸素と反応するものです。
ポリ袋のファスナーを閉めて、空気が入らないようにすると、サビが進まなくなるためにさめるのです。
お店に売っている使い捨てカイロには、バーミキュライトの他に、酸素を吸着して長時間発熱するように、活性炭(顆粒状のもの)も入っています。

熱がでること・燃えること・爆発すること

図のように、いろいろなものが酸素と結びつくと熱がでます。
酸素との結びつき(反応)がゆっくり進むと、使い捨てカイロのように発熱します。
酸素との結びつき(反応)が速くなると、火が出て、もえます。
さらに、速く結びついたのが爆発です。

物が燃える仕組み

使い捨てカイロが酸素と結びつくことの確認

図のように透明なコップの底に、粘着性の使い捨てカイロを貼り付けて、水の中にかぶせてみましょう。
時間が経つと、コップの中の水が周りよりも高くなります。
これは、コップの中の空気に含まれる酸素が、使い捨てカイロの中の鉄と結びつく(反応する)ため、空気の中の酸素が減って、水が周りよりも高くなるのです。
フタ付きのプラスチック容器におもちを、使い捨てカイロと一緒に入れておくと、カビがはえにくくなります。酸素がなくなるためです。ためしてみましょう

水の中に使い捨てカイロを入れたコップをかぶせると

もっと知りたい人へ

この実験と関係の実験やそれらの仕組みを知りたい人は、
http://polymer.apphy.u-fukui.ac.jp/~kuzuu/Education/ExprmtShow/NetsuNoFusigi/Netsu.html
および
http://polymer.apphy.u-fukui.ac.jp/~kuzuu/Education/ExprmtShow/HikariNetsu/HikariNetsu.pdf
を見てください。また、
http://polymer.apphy.u-fukui.ac.jp/~kuzuu/Education/Education.html
には、楽しい実験や様々な現象の仕組みを書いた記事があります。
ぜひごらんください。

※このページに含まれる情報は、掲載時点のものになります。

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