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まだ知られていない厳冬期の絶景を求めて

まだ知られていない厳冬期の絶景を求めて

円筒形太陽電池とそれに用いる
鉛フリーペロブスカイト太陽電池の開発

2024年11月28日電気通信大学 情報理工学域
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工学ホットニュース

 軽量で設置しやすく、一日の総発電量が多く、耐久性が高い新太陽電池が求められています。我々が開発している円筒形太陽電池は内部に軽くフレキシブルな光電変換フイルを用いるため、上記の特性を兼ね備えることが可能な太陽電池です。光電変換フイルムとしてアモルファスシリコンフイルムを用いて関連企業と実証実験を行っていますが、変換効率が高いと期待されているペロブスカイト光電変換フイルムを内蔵した円筒形太陽電池を試作中です。並行してペロブスカイト太陽電池に含まれている鉛イオンを取り除いた鉛フリーペロブスカイト太陽電池を開発しています。どこでも安心して設置できる太陽電池を目指して研究を続けています。

テーマの利用・大学での取り組み

 円筒形太陽電池は光電変換フイルムを円筒形ガラスに挿入し、両端をガラスで完全封止して作製されます。円筒形太陽電池は従来の太陽電池に比較し重量が約半分であり、太陽電池の設置が容易に行えます。円筒形をしているため、周り中から光を取り込むことができ、同じ光電変換層を使い同じ設置面積で比較すると平板形太陽電池に比較し1.5倍程度の高い総発電量(一日)を得ることができます。円筒形を並列に間隔をあけて設置するため、風雪に強い太陽電池であると期待されます。また、円筒形太陽電池の隙間から光が透過する特性を利用し農地に設置し、太陽光発電を行いながら植物を生産するという営農用途も期待されます。さらに、小面積をガラスで完全封止しているため、外部からの酸素、水分の侵入を防ぐことができ、高い耐久性が期待できます。これらの性能を実証するため、現在アモルファスシリコン光電変換フイルムを挿入した円筒形太陽電池モジュールを試作し、関連企業と共同で実証実験を行っており、上記性能のいくつかは実証されています。さらに高い総発電量を得るため、次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト光電変換フイルムを挿入した円筒形太陽電池を試作しています。アモルファスシリコン光電変換フイルムに加えて、ペロブスカイト光電変換フイルムを使った円筒形太陽電池も上記実証実験に加えます。一方、従来のペロブスカイト光電変換フイルムには鉛イオンが含まれていますが、鉛フリーペロブスカイト太陽電池を完成すべく基礎研究を行っています。鉛イオンの代わりに錫イオンを使い、鉛フリーペロブスカイト太陽電池として世界最高レベルの効率を実現しています。ペロブスカイト太陽電池は外部からの水分、酸素の侵入により劣化が加速されるため、容易にガラスで完全封止できるペロブスカイト型円筒形太陽電池には高い耐久性が期待できます。さらに効率を上げるとともに、耐久性の検証を行い、鉛フリーペロブスカイトフイルム挿入型円筒形太陽電池を完成させます。

今後の展望

 太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも最も期待されている発電方式ですが、日本では大規模発電に適した土地が少なくなっています。従ってビルの壁面、屋上、農業用地(含耕作放置地)など身近なところでの小規模分散発電が有望視されています。重量の制限、外見、デザイン性、環境保全の観点から従来の太陽電池ではそれらの用途を十分カバーできません。そこで、軽量で高耐久性を有する変換効率が高い新太陽電池が求められています。ペロブスカイト型円筒形太陽電池は上記の要請を満たす太陽電池として期待されます。まずは従来の太陽電池の設置が難しく、円筒形太陽電池の特徴が生かせる分野から実用化を進め、新しい市場を開拓することによって、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します

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