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雨による風車ブレードのエロージョン

2025年2月13日
新潟大学 工学部

 風力発電は、再生可能エネルギーを利用する主要な発電方法で、高出力を得るために風車の大型化や風況が良い洋上への設置が進められています。新潟県でも村上市および胎内市沖に洋上風力発電所が建設される予定で、ブレード直径が200mを超える大きな風車が38基設置される予定です。

 一見するとゆっくりと回転している風車ですが、大型の風車翼先端は100m/s以上の速さになります。これは新幹線の早さと同じくらいです。この速さで回転する翼に雨や砂が衝突すると大きな衝撃力が発生し、損傷(エロージョン)が発生します。エロージョンが発生すると風車ブレード周りの流れが乱れて風車の発電効率が低下してしまいます。また、適切に保守を行わないとブレード自体が壊れてしまう可能性もあります。

 風力発電によりできるだけ安定した発電を行うためには、エロージョンを抑制する保護テープや塗料の開発、また、気象条件や運転条件からエロージョンの発生を予測し効率的な保守計画を立てることが必要ですが、実際の風車を使ってさまざまな気象条件の実験を行う事はできません。そこで、風車ブレードエロージョンの現象を再現するための地上試験が必要となります。

 私たちは、連続的に高速な液柱を衝突させるパルス噴流式試験装置を開発し、その壊食特性や風車ブレードエロージョンとの関係を調べています。パルス噴流は、高圧ポンプで発生した高速な水噴流を穴が開いた回転円盤を通過させることで発生させます。この方法であれば、安定した衝突速度の液柱を狙った場所に正確に衝突させることができます。この試験方法で得られた液柱の衝突条件やエロージョンの発生状況をもとに風車ブレードエロージョンの予測法の開発を目指しています。

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