コンバージョン建築とは、建物を長期利用するために用途を変更して改修し再利用する手法です。日本でも工場や商業施設等をオフィスや居住施設として再利用することが増えています。しかし、例えば工場だった建物を改修して居住施設にする場合、それぞれの騒音に係る環境基準が異なるので、固体伝搬音と呼ばれる騒音がしばしば問題となることがあります。その原因として多く見られるのが、給水や冷却水循環の目的で設置されているポンプ配管系です。通常、ポンプは建物内の機械室に設置されていますが、ポンプに接続した配管系は建物の天井や壁裏に広範囲に張り巡らされています。このため、ポンプを運転する際に発生する音や振動が配管や管内の水中を介して建物に伝播して、ポンプから離れた居室に耳障りな騒音が放射されてしまいます。
図1 2段設置法の検証実験
図2 配管振動の測定結果
宮崎大学工学部機械力学研究室では、このような固体伝搬音問題を解決する実用的な方法として、配管用フレキシブル継手を用いる振動抑制法(2段設置法)を提案しています。この方法では、ポンプ近傍の配管に2個の継手と円板を適切な位置に設置することで、ポンプから配管系に伝わる振動を抑制することができます。一例として、図1のような直線状配管の左端(上流側)を加振して、右端(下流側)で振動加速度レベル(VAL)を測定した結果を図2に示します。2個の継手と剛体円板を適切な位置に設置することで、下流側(すなわち、居室側)に伝わる振動が大きく低減していることがわかります。この方法は、施工範囲が機械室内に限られるため、建物内の配管系に防振支持などを設置する一般的な方法と比べると、作業がとても簡単であることが特長です。
一方、ポンプ配管系では、配管振動だけでなく管内に水中音波も発生するため、配管振動のみを対象とした対策では固体伝搬音の抑制効果が十分発揮されていない可能性があります。そこで、2段設置法による水中音波の減衰効果について検証するために、図3に示すような水中音伝播測定実験を行っています。図4は測定結果の一例ですが、長さが異なる継手を2個設置した場合に水中音波の抑制効果が高いことがわかります。今後も研究を進めることにより、配管振動と水中音とを同時に抑制するためのフレキシブル継手の最適設置法を確立して、2段設置法の実用化を図りたいと考えています。
図3 水中音測定実験
図4 音圧の測定結果
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